東京為替見通し=ドル円、9:30開始の米下院での財政責任法案の採決を見極める展開

 31日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、4月米雇用動態調査(JOLTS)求人件数が予想を上回る1010.3万件だったことで140.38円まで上昇後、FRB高官による6月会合での利上げ見送りを支持する発言を受けて139.24円まで反落した。ユーロドルは1.0705ドルから1.0635ドルまで下落後に1.0690ドル台まで切り返した。ユーロ円は148.59円まで下落した。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、米東部時間5月31日午後8時半(日本時間6月1日午前9時半)から予定されている米下院での財政責任法案の採決を見極めることになる。

 ジェファーソンFRB理事やハーカー米フィラデルフィア連銀総裁が「6月米連邦公開市場委員会(FOMC)では利上げ見送り支持」と発言したことで、6月FOMCでの据え置き確率が高まっており、ドル円の上値を抑えている。

 米国東部時間5月30日に下院議事運営委員会で審議された財政責任法案は、13人中(共和党9・民主党4)、賛成7、反対6の1票差で可決した。そして、5月31日の午後8時半(日本時間6月1日午前9時半)から開催予定の下院本会議(435議席:共和党222・民主党213)での採決結果を待つ展開となっている。債務上限合意を盛り込んだ「財政責任法案」について、両党指導部は両党の穏健派による支持を背景に下院可決に必要な218票を確保できると表明していた。

 下院で過半数218票を確保して可決した場合、上院(100議席:共和党49・民主党50・無所属1)での採決となり、可決した場合は、米国がデフォルト(債務不履行)に陥ることは回避できることになる。上院で予想されているフィリバスター(議事妨害)を阻止する60票到達には、民主党会派の51議席(民主党50・無所属1)に加えて、共和党からも9票以上の上積みが必要となっている。
 しかしながら、バイデン米大統領が財政責任法案に署名した後でも、格付け会社による米国債格下げへの警戒感は払拭されない。
 2011年8月5日の米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)による米国債格下げは、8月2日の期限にオバマ第44代米大統領が債務上限引き上げ法案に署名した3日後だった。2011年夏の債務上限を巡るオバマ米政権と下院共和党とのチキンゲームは以下の通りとなっている。
・7月31日:民主・共和両党が債務上限引き上げで合意
・8月1日:下院で可決
・8月2日(Xデイ):上院で可決し、オバマ米大統領が法案に署名して成立
・8月5日:S&Pが米国債格下げを発表

 リスクシナリオは、共和党保守強硬派の下院議員連盟「フリーダム・コーカス」の反対により、否決される場合となる。「フリーダム・コーカス」は、今年1月に共和党のマッカーシー下院院内総務を議長に選出(過半数:216票対212票)するまで15回の投票を繰り返させたが、今回は、否決してマッカーシー米下院議長を解任する、と表明している。




(山下)
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