東京為替見通し=ドル円、債務上限関連法の採決難航や米国債格下げ懸念で伸び悩む展開か
29日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、NY市場がメモリアルデーで休場となるなか、持ち高調整の売りで一時140.12円まで値を下げた後、ショートカバーで140.40円台まで下値を切り上げた。ユーロドルは独長期金利の大幅低下を背景に一時1.0706ドルまで下落した。ユーロ円は独金利低下に伴うユーロドルの下落につれて150.10円まで下げた後、ドル円が下げ渋るにつれて150.40円台まで反発した。
本日の東京外国為替市場のドル円は、明日の米議会で予定されている米国債務上限関連法案の採決が難航するとの警戒感や米国債格下げへの警戒感から伸び悩む展開が予想される。
米国債務上限関連法案に関して、本日東部時間30日午後3時(日本時間31日午前4時)から米連邦議会の下院規則委員会で協議が行われ、明日31日に米下院での採決が予定されている。
マッカーシー米下院議長は、明日の下院での債務上限の採決に向けて、共和党下院議員の95%超が合意を歓迎しており、「共和党の大部分が賛成する良好かつ堅固な法案だ。共和党と民主党がこの法案を大統領に送付できるだろう」と述べている。しかし、共和党保守強硬派の議員連合「フリーダム・コーカス(自由議連)」は、31日に行われる採決で法案の否決を目指す考えを示している。
今年1月、共和党のマッカーシー下院院内総務は、1859年以来となる15回目の下院議長選挙で過半数(216票対212票)を獲得して議長に選出された。15回の投票は、4日間にわたって行われたが、イエレン米財務長官が、米国がデフォルト(債務不履行)に陥る「Xデイ」を6月5日まで先延ばししたことで、フリーダム・コーカスには5日間程度の造反できる時間が残されている。
すなわち、債務上限引き上げの暫定合意案のリスクシナリオは、6月4日(日曜日)辺りまで下院で承認されない場合となる。
2011年夏の債務上限を巡るオバマ米政権と下院共和党とのチキンゲームの時は、8月2日(火曜日)の期限に対して、7月31日(日曜日)に民主・共和両党が債務上限引き上げで合意し、「債務上限引き上げ法」を8月1日に下院で可決、8月2日に上院で可決し、オバマ米大統領は直ちに法案に署名して成立した。
しかし、8月5日に米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)が、アメリカの長期発行体格付けを「AA+」、見通しを「ネガティブ」に格下げしたことで、米国債格下げショックが市場を襲った。
先週、格付け会社フィッチ・レーティングスは、米国の長期外貨建て発行体デフォルト格付け「AAA」を「レーティング・ウオッチ・ネガティブ」に置いたと発表した。そして、期限が迫っているにもかかわらず、債務上限の引き上げや適用停止に向けた交渉が、政治の党派性の高まりで妨げられていることを反映していると説明した。
格付け会社ムーディーズは、債務上限協議を行っている議員の公的な発言が格付け見通しの評価変更につながる可能性があるという見方を示した。すなわち、協議中に交渉担当者がデフォルトを想定していると公的に示唆すれば、格付け見通しを「安定的」から「ネガティブ」に変更する可能性を示唆した。
格付け会社DBRSモーニングスターは、米国の「AAA」格付けを引き下げ方向で見直すと明らかにした。そして、「格下げ方向の見直しは、議会が適時適切に債務上限を引き上げないし停止を実施できないリスクを反映する。議会が行動しなければ、米連邦政府は全ての債務支払いができなくなる」と指摘した。さらに、今回解決しても、二極化した政治環境において対立が繰り返される見通しは、格付けの引き下げにつながる可能性があると警告した。
(山下)
本日の東京外国為替市場のドル円は、明日の米議会で予定されている米国債務上限関連法案の採決が難航するとの警戒感や米国債格下げへの警戒感から伸び悩む展開が予想される。
米国債務上限関連法案に関して、本日東部時間30日午後3時(日本時間31日午前4時)から米連邦議会の下院規則委員会で協議が行われ、明日31日に米下院での採決が予定されている。
マッカーシー米下院議長は、明日の下院での債務上限の採決に向けて、共和党下院議員の95%超が合意を歓迎しており、「共和党の大部分が賛成する良好かつ堅固な法案だ。共和党と民主党がこの法案を大統領に送付できるだろう」と述べている。しかし、共和党保守強硬派の議員連合「フリーダム・コーカス(自由議連)」は、31日に行われる採決で法案の否決を目指す考えを示している。
今年1月、共和党のマッカーシー下院院内総務は、1859年以来となる15回目の下院議長選挙で過半数(216票対212票)を獲得して議長に選出された。15回の投票は、4日間にわたって行われたが、イエレン米財務長官が、米国がデフォルト(債務不履行)に陥る「Xデイ」を6月5日まで先延ばししたことで、フリーダム・コーカスには5日間程度の造反できる時間が残されている。
すなわち、債務上限引き上げの暫定合意案のリスクシナリオは、6月4日(日曜日)辺りまで下院で承認されない場合となる。
2011年夏の債務上限を巡るオバマ米政権と下院共和党とのチキンゲームの時は、8月2日(火曜日)の期限に対して、7月31日(日曜日)に民主・共和両党が債務上限引き上げで合意し、「債務上限引き上げ法」を8月1日に下院で可決、8月2日に上院で可決し、オバマ米大統領は直ちに法案に署名して成立した。
しかし、8月5日に米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)が、アメリカの長期発行体格付けを「AA+」、見通しを「ネガティブ」に格下げしたことで、米国債格下げショックが市場を襲った。
先週、格付け会社フィッチ・レーティングスは、米国の長期外貨建て発行体デフォルト格付け「AAA」を「レーティング・ウオッチ・ネガティブ」に置いたと発表した。そして、期限が迫っているにもかかわらず、債務上限の引き上げや適用停止に向けた交渉が、政治の党派性の高まりで妨げられていることを反映していると説明した。
格付け会社ムーディーズは、債務上限協議を行っている議員の公的な発言が格付け見通しの評価変更につながる可能性があるという見方を示した。すなわち、協議中に交渉担当者がデフォルトを想定していると公的に示唆すれば、格付け見通しを「安定的」から「ネガティブ」に変更する可能性を示唆した。
格付け会社DBRSモーニングスターは、米国の「AAA」格付けを引き下げ方向で見直すと明らかにした。そして、「格下げ方向の見直しは、議会が適時適切に債務上限を引き上げないし停止を実施できないリスクを反映する。議会が行動しなければ、米連邦政府は全ての債務支払いができなくなる」と指摘した。さらに、今回解決しても、二極化した政治環境において対立が繰り返される見通しは、格付けの引き下げにつながる可能性があると警告した。
(山下)