東京為替見通し=ドル円、米下院での債務上限関連法の採決難航懸念で伸び悩む展開か

 30日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、米10年債利回りの低下やダウ平均の下落を受けて139.57円まで下落した。ユーロドルは1.0747ドルまで上昇した。ユーロ円は米国株の下落を受けてリスク回避の円買いが進み149.74円まで下落した。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、今夜予定されている米下院での米国債務上限関連法案の採決が難航するとの警戒感から伸び悩む展開が予想される。

 10時30分に発表される4月豪消費者物価指数(CPI)は前年比+6.4%と予想されており、3月の同比+6.3%からの上昇が見込まれている。市場では「豪準備銀行(RBA)の追加利上げの可能性は否定できないが、6月は金利が据え置かれる」との思惑から6月利上げは織り込んでいないため、CPIが予想外に上昇していた場合に警戒しておきたい。

 今夜米下院で予定されている米国債務上限関連法案の採決は、共和党保守強硬派の下院議員連盟「フリーダム・コーカス」の反対により、否決される可能性が高まりつつある。
 米下院(共和党:222・民主党213)では、今年1月に共和党のマッカーシー下院院内総務が、1859年以来となる15回目の下院議長選挙で過半数(216票対212票)を獲得して議長に選出された。15回の投票は、4日間にわたって行われたが、イエレン米財務長官が、米国がデフォルト(債務不履行)に陥る「Xデイ」を6月5日まで先延ばししたことで、フリーダム・コーカスには5日間程度の造反できる時間が残されている。
 そして、債務上限関連法案の採決が難航した場合、2011年8月のような格付け会社による米国債格下げの可能性が高まることにも要警戒となる。

 今後の米国の債務に関する日程は以下の通りとなっている。
・5月31日:米下院で債務上限関連法案が採決の予定
・6月1日:米財務省短期証券(Tビル)の償還1170億ドルと米上院で採決の予定
・6月5日:デフォルトに陥る「Xデイ」
・6月6日:Tビルの償還1230億ドル
・6月8日:Tビルの償還1080億ドル
・6月13日:Tビルの償還1230億ドル
・6月15日:Tビルの償還2460億ドル&長期国債の償還450億ドル、大口の法人税収

 昨日、財務省と金融庁、日本銀行が開いた国際金融資本市場に関する「3者会合」が開催され、神田財務官は「為替相場はファンダメンタルズを反映して安定的に推移することが重要だ。過度な変動は好ましくない。為替市場の動向をしっかり注視し、必要があれば適切に対応していく考えに変わりはない」との認識を示した。
 昨年、本邦通貨当局は、ドル売り・円買い介入の目的をボラティリティー抑制、すなわち「過度な変動」抑制と表明し、米国財務省もボラティリティー抑制のための円買い介入を容認していた。
 本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入は、ボリンジャー・バンドの「+2σ」付近までのボラティリティーが上昇した局面で行われていることが確認できている。すなわち、2022年9月22日のドル売り・円買い介入は、「+2σ」の146.12円に接近した局面、10月21日には、「+2σ」の150.39円を上抜けた局面で断行された。
 本日のドル円の「+2σ」は、141.55円付近にあり、もし、接近するような局面があれば、適切に対応としてのドル売り・円買い介入の可能性が高まることになる。



(山下)
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