週間為替展望(ポンド/加ドル)-加ドル、CPIが利上げに影響

◆ポンド、予想を上回る0.50%の利上げ
◆ポンド、英中銀の引き締め加速が支えとなるも景気懸念で伸び悩む可能性
◆加ドル、CPIの結果が利上げ見通しに影響

予想レンジ
ポンド円 178.50-184.50円
加ドル円 106.50-110.50円

6月26日週の展望
 イングランド銀行(英中銀、BOE)は今週、市場予想の0.25%を上回る0.50%の利上げに踏み切った。BOEは「最近のデータがインフレ高の長期化懸念を高めている」とし、大幅の利上げを実施。「今後さらなる利上げが必要になる可能性」を指摘した。もっとも、会合前の21日に発表された5月英消費者物価指数(CPI)では、前年比+8.7%と4月と同水準で予想に反して鈍化せず、BOEが政策判断で重要視する同コアも+7.1%と加速。1992年以来の高水準となったことから、市場の一部では0.50%の利上げを織り込む動きも見られていた。

 英国は主要7カ国(G7)で最悪のインフレ問題を抱えており、ベイリーBOE総裁はインフレ対策として「今金利を引き上げて対処しないと後でもっと悪くなる可能性がある」と指摘した。コアインフレ率の急上昇と賃金伸び率の再加速はインフレ圧力がなお強まっていることを裏付けており、BOEはインフレ阻止に強い決意を示したが、景気悪化懸念を強める大幅利上げは苦しい判断であることは間違いない。

 0.50%の利上げに反対したテンレイロ、ディングラ両委員は0.25%の利上げではなく据え置きを主張した。最近の英経済データは景気鈍化への過度な警戒感を緩める結果となっているが、過去の引き締めの影響がこれからデータで現れる可能性がある。市場ではBOEが年末までに政策金利を6.00%まで引き上げる見方が強まっており、引き締め継続への思惑がポンドの下支えとなるも、今後の英経済への懸念の高まりがポンドの上値を圧迫しそうだ。

 カナダ中銀(BOC)が6月会合で予想外の利上げに踏み切った一方で、米連邦準備制度理事会(FRB)は利上げをいったん停止した。金利差からみた米国優位性が幾分後退し、ドル高・加ドル安圧力は緩んだものの、FRBは今後利上げを再開し年末まで2回の追加利上げの可能性を示唆している。一方、BOCは金融政策がインフレを持続的に2%目標に回帰させるために十分に制約的ではないと利上げを再開させたが、金利上昇による国内景気に対する強い下押し圧力や家計の債務返済負担増に対しての警戒感も強めており、一段の利上げにはかなり慎重になっている。

 市場は9月会合までBOCが1回の追加利上げ実施を織り込み済み。27日発表予定の5月CPIの結果が金利見通しに影響を与える可能性が高く、強い結果となれば7・9月会合での連続利上げの思惑も高まるだろう。ただFRBも7月会合で利上げ再開との見方が強く、加ドルの対ドルでの上昇余地は限定的か。一方、対円では金融政策の格差拡大を手がかりに堅調地合いを維持しそうだ。

6月19日週の回顧
 予想比上振れの英5月CPIやBOEの予想以上の利上げを背景としたポンド買いは一時的にとどまった。利上げの経済への懸念がポンドの上値を圧迫し、ポンドドルは1.28ドル前半で伸び悩み、ポンド円は182円半ばで上昇が一服した。
 
 ドル/加ドルは1.31加ドル台を中心に小幅の上下にとどまった一方、円安の流れが続くなか加ドル円は昨年11月以来の108円台復帰を果たした。(了)

(小針)
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