NY為替見通し=6月米消費者信頼感指数や5月加CPIで動意付くか

 本日のNY為替市場では、6月米消費者信頼感指数や5月カナダ消費者物価指数(CPI)の結果次第で動意付きそうだ。ドル円については、本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入への可能性に警戒しながらは変わらずか。

 6月米消費者信頼感指数は予想104.0と、6カ月ぶりの低水準となった5月102.3からの改善が見込まれている。5月は、雇用が十分にあるとの回答比率が約2年ぶりの低い水準まで落ち込んでいた。米国6月の雇用統計を来週に控え、雇用関連指標に要注目となる。また、1年先のインフレ期待にも注視したい。

 5月カナダCPIは前年比 +3.4%と予想されており、4月の同比+4.4%からの伸び率鈍化が見込まれている。カナダ中銀(BOC)は6月の金融政策決定会合で、インフレを持続的に2%目標に回帰させるために利上げを再開した。市場は9月会合までに1回の追加利上げ実施を織り込んでいるが、5月CPIが想定ほど減速していなかった場合は、2回の利上げの可能性が高まるかもしれない。一方で予想以上に鈍化していた場合は、追加利上げ期待が急速に萎むことも考えらるため要注目となる。

 ドル円は、日本銀行による大規模金融緩和の継続と米連邦準備理事会(FRB)の年内2回の追加利上げ観測を背景に143円台後半まで上昇した。本邦通貨当局からは、昨日の神田財務官に続き、本日は鈴木財務相による「注視する、適切に対応する」という口先介入が行われたものの、実際にドル売り・円買い介入が実施されないため、ドル円の下値は堅いままだ。しかしながら、昨年10月21日(※日本時間23時半過ぎ)のニューヨーク市場では、ドル売り・円買い介入が断行されており、本日も警戒しておきたい。
 
 なおIMM通貨先物の非商業(投機)部門の円売り持ちネットポジションは、昨年10月25日時点が102618枚、6月20日時点は107656枚となっている。

 ユーロに関しては、現在ポルトガルのシントラで、欧州版ジャクソンホールと言われるシントラ会合が開催されているため、ECB高官の発言には警戒しておきたい。すでに、ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁から「ターミナルレート(利上げの最終到達点)に到達した兆候はない」「インフレは高すぎる」などの発言が伝わった。


・想定レンジ上限
 ドル円の上値目処(めど)は、ピポット・レジスタンス2の144.18円。
 加ドル円は、ピポット・レジスタンス2の109.66円。

・想定レンジ下限
 ドル円の下値目処(めど)は、6月26日の安値の142.94円。
 加ドル円は、6月26日の安値の108.61円。

(山下)
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