NY為替見通し=経済指標を確かめながらの取引、依然として円買い介入には警戒

 本日のNY為替市場のドル円は、米国の経済指標を確かめながらの展開が予想される。ただし144円台まで円安が進行しており、本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入への可能性に警戒しながらの取引となりそうだ。

 1-3月期米国内総生産(GDP)確定値は、前期比年率+1.4%と改定値の+1.3%からの上方修正が見込まれている。前週分の米新規失業保険申請件数は26.5万件と前回からやや悪化が予想。米6月雇用統計の調査対象週の失業保険継続受給者数は、予想176.5万人と前回175.9万人からの増加見込みだ。予想通りか、ネガティブサプライズならば、米6月雇用統計の悪化を示唆することになり、気を付けておきたい。

 ドル円は日米の金融トップの発言を受けて、144円台後半まで上昇。植田日銀総裁は「基調的インフレ率が目標の2%を下回っているため、金融緩和を続けている」と述べ、パウエルFRB議長は「7月と9月の連続利上げの可能性を選択肢から排除しない」と発言した。

 本邦通貨当局からは、「注視する、適切に対応」という口先介入が行われているものの、ドル売り・円買い介入の実施を警告する「断固たる措置」が聞かれないため、円安を模索する状況が続いている。しかし、昨年10月21日のニューヨーク市場では、欧州勢が退出した日本時間23時台に、ドル売り・円買い介入が断行されており、本日も警戒しておきたい。

 また、昨年9月22日のドル売り・円買い介入は、黒田日銀総裁(当時)が「当面金利を引き上げるようなことはない」と述べた後の145円台で実施された。現状も、植田日銀総裁が「基調的インフレ率が目標の2%を下回っているため、金融緩和を続けている」と述べて、145円を窺いつつあることにも注意が必要だろう。

・想定レンジ上限
 ドル円の上値目処(めど)は、2022年10月27日の安値の145.11円。

・想定レンジ下限
 ドル円の下値目処(めど)は、6月28日の安値の143.73円。


(山下)
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