NY為替見通し=円買い介入に警戒しつつ、米国のインフレ率を見極める展開か

 本日のNY為替市場のドル円は、本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入の可能性に警戒しながら、米国5月のPCEデフレーターや6月の消費者態度指数でのインフレ指標を見極める展開が予想される。

 米連邦準備理事会(FRB)がインフレ指標として注視している5月のPCEデフレーターは、前年比+3.8%と予想されており、4月の同比+4.4%からの伸び率低下が見込まれている。PCEデフレーターは、昨年6月の同比+6.8%でピークアウトして以来、低下傾向にある。
 予想通りに低下していた場合、現状のFF金利誘導目標5.00-25%、7月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での5.25-50%への追加利上げ観測、ドット・プロット(金利予測分布図)で示された年内2回の利上げとの整合性が無くなるため、米連邦準備理事会(FRB)高官による見解などに注目することになる。

 6月米消費者態度指数(ミシガン大調べ)の確報値でも、1年先のインフレ期待の修正に要注目となる。速報値での1年先のインフレ期待は、5月の4.2%から3.3%に低下して、2021年3月以来の低水準となっており、リスクシナリオは2%台へ下方修正された場合となる。

 ドル円は、日本銀行と米連邦準備理事会(FRB)の金融政策の方向性の違いを背景に、145円台まで上昇してきている。本邦通貨当局からは、「注視する、適切に対応」という口先介入が行われているものの、ドル売り・円買い介入の実施を警告する「断固たる措置」が聞かれないため、円売りを継続する状況が続いている。
 しかし、昨年9月22日のドル売り・円買い介入は、145.90円まで上昇した局面で行われ、昨年10月21日のニューヨーク市場では、欧州勢が退出した日本時間23時台に、ドル売り・円買い介入が断行されており、本日も警戒しておきたい。


・想定レンジ上限
 ドル円の上値目処(めど)は、2022年11月2日の安値の145.68円。

・想定レンジ下限
 ドル円の下値目処(めど)は、6月29日の安値の144.14円。


(山下)
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