東京為替見通し=円買い介入への警戒継続か、豪ドルは豪準備銀行の金融政策に注目

 3日のニューヨーク外国為替市場でドル円は143.99円まで下落後に144円後半まで反発。6月米ISM製造業景況指数が予想を下回ったことに売りで反応したが、米長期金利が上昇に転じたためドルが買い戻された。ユーロドルは一時1.0934ドルまで上昇後は1.09ドル前半でもみあった。ユーロ円は157.96円まで堅調に推移した。


 本日の東京外国為替市場のドル円は、本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入の可能性に警戒は継続か。豪ドルについては、豪準備銀行(RBA)理事会の金融政策を見極めることになる。

  昨年秋に実施された3回の本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入は、主要市場のつなぎの時間帯でもあり、流動性がやや低下した時間帯に行われている。すなわち、9月22日は日本時間17時半頃(アジア・東京勢が退場し、欧州勢が参入し始めた頃)、10月21日は日本時間23時半頃(欧州勢が帰り支度を始めた頃)、同月24日が日本時間8時半頃(東京勢が参入し始めた頃)に実施されていた。本日は、ニューヨーク市場が独立記念日で休場のため、薄商いが予想されるため、145円台に乗せる局面があれば警戒しておきたい。

 13時30分に発表される豪準備銀行(RBA)の政策金利は、4.10%での据え置きと4.35%への追加利上げ予想が拮抗している。先日発表された5月豪消費者物価指数(CPI)が前年比+5.6%と4月の同比+6.8%から大きく減速。足もとインフレ率の想定以上の鈍化が市場参加者を迷わせているようであり、結果への注目が高まっている。

 6月6日、据え置き予想だったところから利上げを決定したRBA理事会の声明文は、「インフレ率はピークを過ぎたが、7%水準は依然として高すぎ、目標範囲に戻るにはまだ時間がかかる」「最近のデータはインフレ見通しに対する上振れリスクが高まっていることを示している」だった。また議事要旨では、「6月の利上げの決定は微妙なバランスではあったが、高いインフレが賃金や物価の期待に根付かないようにするために必要と判断」とされた。ただ豪CPIでは金融当局の見立てより早いインフレ低下が示され、予断を許さない状況となっている。

 なお、昨日のニューヨーク市場では、米国2-10年債の長短金利逆転(逆イールド)が110.8ベーシスポイント(bp)まで拡大し、3月の110.9bpに迫ったことが話題となった。米国2-10年債の逆イールドは、1955年以降の米国のリセッション(景気後退)に関して、1回の例外を除く全てのリセッションが6-24カ月以内に到来することを警告していたが、100bpの拡大では、8カ月以内にリセッションが到来しており、今年末のリセッション入りが警告されている。

 しかしながら、米連邦公開市場委員会(FOMC)のドット・プロット(金利予測分布図)は、年末のFF金利誘導目標を5.50-75%と見込んでおり、今年の12月は、市場のリセッション見通しとFRBの利上げ見通しのどちらが正しいのかが判明する月となる。

(山下)
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