東京為替見通し=ファースト・リパブリック銀行関連の報道に要警戒か、今週はFOMC

 28日のニューヨーク外国為替市場でドル円は136.56円まで上昇した。3月米個人消費支出(PCE)デフレーターや1-3月期米雇用コスト指数が上振れたことで、米金融引き締めが長期化するとの観測が強まった。ユーロドルは、欧州時間に発表された1-3月期ユーロ圏域内GDP速報値の下振れ、米インフレ指標の上振れなどで一時1.0963ドルまで下落した。ユーロ円は大規模な金融緩和策を継続する日銀と利上げ継続中のECBとの金融政策の方向性の違いが鮮明となり、150.43円まで上昇した。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、2-3日に開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)を控えて動きづらい展開か。東京市場はゴールデン・ウィーク、海外市場はメーデーということも、動意に乏しさにつながってしまうかもしれない。しかしながら米国では、シリコンバレーバンクとシグネチャー・バンクに続く3行目の経営破綻が警戒されている「米地銀のファースト・リパブリック・バンク」に関する報道には要警戒となる。

 先週末のドル円は、植田日銀総裁にとっての初の日銀金融政策決定会合で、現状の大規模な金融緩和策の維持が決定されたことで、136.56円まで上昇。200日移動平均線(※以下200MA)137.00円に迫る円全面安の展開となった。

 昨年12月20日の日銀金融政策決定会合では、イールドカーブコントロール(YCC)の変動幅の拡大が決定された。これを受けてドル円は、その当時137.91円に位置していた200MAを抵抗線にして、高値137.48円から130.58円まで急落していた。その後、今年3月8日には、パウエルFRB議長の0.50%利上げ示唆を受けて137.91円まで上昇して、その時の200MA137.44円を上抜けたものの、シリコンバレーバンクやシグネチャー・バンクの経営破綻を受けて失速していた。

 ドル円が攻防の分岐点である200MAを上抜けて140円台に上昇するには、日銀の大規模金融緩和の長期化と、米連邦準備理事会(FRB)による高金利長期化、すなわち、日米10年債利回り格差の拡大観測が必要だと思われる。3日に公表されるFOMC声明には要注目だ。

 先週末時点でのCMEグループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」では、3日FOMCでの0.25%の追加利上げ確率は8割程度となっている。6月から9月は据え置き、そして11月は0.25%の利下げ確率が高まり、12月には4.50-75%へ引き下げられる確率が高くなっており、3月FOMCでのドット・プロットの5.00-25%とは0.50%の乖離となっている。

 またユーロ円は先週、2008年9月のリーマンショック前の水準である150円台に乗せている。政策金利3.50%を目指している欧州中央銀行(ECB)とマイナス金利(▲0.10%)の緩和策を維持する日本銀行の金融政策の乖離が背景だ。

 ここから注意したいのはユーロ圏の景気動向か。1-3月期域内総生産(GDP)は前期比+0.1%と発表され、2四半期連続のマイナス成長となるリセッション(景気後退)は回避した。しかし、ユーロ圏の名目潜在成長率(潜在成長率+期待インフレ率)は3%であり、政策金利が3.5%まで引き上げられた場合、「オーバーキル」により景気減速への警戒感が高まることになる。

(山下)
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