東京為替見通し=東京市場休場と21-22日のFOMCを控えて動きづらい展開か

 20日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、日本時間夕刻に一時130.54円まで下落したものの、欧米株価が底堅く推移したこと、米長期金利が上昇に転じたことなどで131.84円付近まで反発した。ユーロドルは欧州序盤の安値から1.0731ドルまで反発した。
ユーロ円は、欧州序盤の安値138.83円から141.41円付近まで反発した。

 本日のアジア外国為替市場のドル円は、東京市場が休場で、本日から開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)への警戒感から、動きづらい展開が予想される。

 シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」によると、0.25%の利上げ確率が77%程度、据え置き確率が23%程度になっている。5月FOMCでは据え置き確率が高くなり、6月FOMCでは利下げ確率が高まり、年内4回(7月、9月、11月、12月)は、利下げ確率が高く、年末のFF金利誘導目標は3.75-4.00%と示唆されている。
 昨年12月のFOMCでのドット・プロット(金利予測分布図)は、2023年末のターミナルレート(利上げの最終到達点)を5.125%(※FF金利誘導目標5.00-25%)と予想していた。内訳は、4.875%が2名、5.125%が10名、5.375%が5名、5.625%が2名だった。
 パウエルFRB議長は、今年2月のFOMC後の会見で、年内の利下げの可能性は想定せずと述べ、3月7日の議会証言で、利上げペース加速の用意がある、と述べていたが、市場の見立ては逆行している。

       【フェドウオッチ】     【ドット・プロット】
・3月22日:4.75-5.00%(+0.25%引き上げ)4.75-5.00%(+0.25%引き上げ)
・5月3日:5.00-25% (据え置き)    5.00-25% (+0.25%引き上げ)
・6月14日:4.75-5.00% (利下げ)    5.00-25% (据え置き)
・7月26日:4.50-75% (利下げ)     5.00-25% (据え置き)
・9月20日:4.25-50% (利下げ)     5.00-25% (据え置き)
・12月1日:4.00-25% (利下げ)     5.00-25% (据え置き)
・12月13日:3.75-4.00%(利下げ)      5.00-25% (据え置き)

 また、米連邦準備理事会(FRB)は、量的金融引締政策(QT:Quantitative tightening)により、バランスシートを昨年夏の9兆ドル規模から8.4兆ドル規模まで減らしてきていたが、先週は約3000億ドル増加して8兆6393億ドル(※3/15付け)となっており、保有資産の圧縮にブレーキがかかった。
 連銀窓口貸出(ディスカウント・ウインドウ)の利用額が15日までの1週間で1529億ドルとなり、金融危機が最も深刻化したリーマンショック時の2008年秋に付けたこれまでの最高額である1120億ドルを上回り、「バンク・ターム・ファンディング・プログラム(BTFP)」の利用額も119億ドルに上った。
 BTFPは、流動性を供給することで、準量的金融緩和策になるが、22日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で第9次利上げが決定されれば、金融引き締めとなり、整合性がとれないことになる。
 21-22日のFOMCでは、16日の欧州中央銀行(ECB)理事会のように金融安定よりも物価安定に軸足を置いて0.25%の第9次利上げに踏み切るのか、それとも金融安定に軸足を置いて据え置きを決定するのか、要注目となる。



(山下)
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