東京為替見通し=ドル円、米雇用統計のポジティブサプライズ警戒で底堅い展開か

 6日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、予想を上回った6月ADP全米雇用報告や6月米ISM非製造業指数を受けて144.65円付近まで上昇したものの、米国株相場の下落に伴うリスク回避の円買いで144円割れまで反落した。ユーロドルは1.0834ドルから1.0893ドル付近まで反発した。ユーロ円は157.12円の高値を付けた後は156円台後半でのもみ合いに終始した。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、今夜発表される米6月雇用統計のポジティブサプライズへの警戒感から底堅い展開が予想される。しかしながら、NY株安を受けて、日経平均株価も続落が予想されるため、昨日のような株安・円高の再現には注意しておきたい。

 昨日発表された米6月ADP全米雇用報告が前月比+49.7万人だったことで、本日の米6月雇用統計の上振れを見込む向きが増えつつあるようだ。昨日の米10年債利回りは一時4.08%付近まで上昇し、同2年債利回りも16年ぶりとなる5.12%を記録。NY引けにかけて債券は買い戻し(利回りは低下)が進んだものの、水準自体は以前高いまま。債券市場は、かなり強い労働市場への警戒感を高めているといえよう。

 CMEグループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」では、7月米連邦公開市場委員会(FOMC)で5.25-50%への利上げはほぼ確実視されている。しかしながら9月、11月、12月FOMCでは据え置き確率が高まったままであり、依然として年内1回の利上げだけを確実に織り込んでいる状態だ。本日の米雇用統計が想定以上に強かった場合、ドット・プロット(金利予測分布図)が示唆するように、7月FOMCと年内もう1回の追加利上げで、年末のFF金利誘導目標5.50-75%を織り込むことになるのかもしれない。

 ウィリアムズ米NY連銀総裁は、先日、金融政策を巡る判断はデータ次第としながらも、米連邦準備理事会(FRB)が追加利上げする必要があるとの見方はデータによって裏付けられている、と述べていた。

 なお、本日発表される米国6月の失業率は3.6%予想、5月3.7%から改善見込み。非農業部門雇用者数は前月比予想+22.5万人と、前回+33.9万人から増加幅の減少が見込まれている。また、平均時給は前月比+4.2%と5月同比+4.3%から低下予想だ。

 7月25-26日のFOMCでは、本日の6月雇用統計と12日に発表される米6月消費者物価指数(CPI)が11度目の利上げ判断のデータとなる。CPI予想は前年比+3.0%付近と5月の同比+4.0%からの低下が見込まれている。

 本日の米6月雇用統計がポジティブサプライズとなり、ドル円が急騰した場合は、昨年10月21日(金曜日)の東京時間23時30分頃に断行された本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入の再現に警戒しておきたい。神田財務官は、ボラティリティーを抑制するという名目で円買い介入を行っていたが、10月21日は、ボラティリティーの度合いを示すボリンジャー・バンド+2σ(150.38円)を上抜けて151.95円まで上昇していた。本日の+2σの水準は146.30円台に位置している。



(山下)
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