ロンドン為替見通し=米CPI待ちだが、伊株やノルウェーCPI・米中対立にも注視

 本日のロンドン為替市場では、後半に今週の金融市場のメインイベントである7月米消費者物価指数(CPI)を控えるなか、前半は積極的な取引は手控えられるか。ただ昨日同様にイタリア株を中心とした欧州株動向には目を向けておく必要はあるだろう。また序盤に発表される7月ノルウェーCPIの結果次第で、ノルウェー・クローネ(NOK)が動意付く可能性は十分にありそうだ。

 一昨日にイタリアの銀行株急落につながった「超過利潤課税」だが、同国政府は新税の一部を昨日撤回。金融機関の収益に対する悪影響減への期待から、銀行関連を中心に伊株は買い戻しが優勢となった。伊金融市場への懸念が昨日同様に薄まるようであれば、ユーロは対円を中心に上値を試す場面がありそうだ。ただ「朝令暮改」とも受け止められかねず、そうなると伊政府の信認低下にも繋がり、必ずしもユーロポジティブというわけでもないか。

 日本時間15時に発表されるノルウェーの7月CPIは前年比予想5.7%と前回6.4%から大きく減速する見込み。市場予想通りであれば2022年5月以来の低いインフレ率となる。1週間後に公表されるノルゲバンク(ノルウェー中銀)の金融政策への思惑がどのように変化するか注目。前回6月の会合まで、中銀は3会合連続で政策金利を引き上げている。

 他、米中対立を巡るリスクセンチメントの強弱にも注意したい。バイデン米大統領は9日、特定のハイテク分野における対中投資を規制する大統領令に署名した。これまでの規制はモノが中心だったが、資金の流れも対象とされた。中国が対抗措置を取ることは充分に考えられ、経済大国同士の対立激化が危惧される。

想定レンジ上限
・ユーロ円はピボットターニングポイント159.11円
・ユーロドルは4日高値1.1042ドル
・NOK円は2022年9月高値14.59円

想定レンジ下限
・ユーロ円は9日安値156.92円
・ユーロドルは3日安値1.0912ドル
・NOK円は7月28日の日銀会合後につけた13.50円台。


(小針)
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