NY為替見通し=ドル買いトレンド継続か、材料難だがドル以外の通貨買い難さ変わらず

 昨日はレイバーデイで北米市場は休場だったが、本日より米・カナダ市場ともに休場明けとなる。すでに、アジア・欧州市場では米10年債利回りが4.22%台まで上昇し、ドルも全面高になるなど、北米市場参入を前に相場を先取りしている形になっている。

 先週末の米国引け値(ドル円は146.22円近辺、ユーロドルは1.0790ドル台)と現行水準を比較すると、NY勢からすれば大幅にドル買いに動いていることもあり、北米市場参入後は若干のドルの売り戻しもみられるかもしれない。しかし、大きくドル売りに傾くのは難しいと予想する。
 
 そもそも、先週発表された米経済指標では、雇用統計の失業率は市場予想より悪化し、平均賃金も伸びが弱かったのにもかかわらず、8月米製造業PMI改定値や8月米サプライマネジメント協会(ISM)製造業景況指数の好結果への反応が大きくなった。通常はより重要視される雇用統計をスルーし、ドルは買い上げられた。この動きがドル買いのトレンドの強さを物語っているとも言え、ドルの買い場探しは変わらないか。

 また、ドル以外に買いを仕掛けたい通貨が不足していることも、ドルの堅調地合いが続く理由としてあげられる。豪準備銀行(RBA)の利上げ打ち止め感が出ていることによる、豪ドル売り・ドル買い意欲が強い。欧州経済を見ても、これまで欧州は製造業のPMIが弱かったものを、サービス業が支えていたが、予想を下振れたサービス業速報値が更に仏・ユーロ圏は改定値で下方修正されるなど、ユーロも対ドルでは買い難く、ドルの独歩高になる可能性も高そうだ。

 なお、本日は米国からの経済指標は7月の米製造業新規受注が発表される程度で、要人の講演予定もなく、市場を動意づかせる材料は少ない。特に明日は8月米ISM非製造業指数が発表され、ベージュブックも公表されることで、これらの結果を見定めるまで動きにくくなるかもしれない。しかしながら、材料難のなかでもここ最近は米金利が激しく動く傾向があることで、引き続き為替市場もボラタイルな動きになることで注意したい。


・想定レンジ上限
 ドル円の上値目途は、8月29日に付けた年初来高値147.37円。その上は昨年11月4日高値148.40円。

・想定レンジ下限
 ドル円の下値目途は、日足一目均衡表・転換線145.91円。その下は先週末雇用統計発表直後に付けた1日安値144.45円。


(松井)
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