東京為替見通し=ドル円、NY市場休場のため動きづらい展開か

 1日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、8月米雇用統計発表後に144.45円まで下落した後、8月米ISM製造業景況指数などの発表を受けて146.29円まで上昇した。ユーロドルは、1.0882ドルまで上昇した後、1.0772ドルまで下落した。ユーロ円も157.06円まで下落した。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、重要な経済指標や要人発言の予定はなく、今夜のニューヨーク市場がレーバーデーで休場となることで動きづらい展開が予想される。

 ドル円は、昨年9月22日の本邦通貨当局による第1弾ドル売り・円買い介入が実施された145円台を上回り、10月24日の第3弾円買い介入が実施された147円台まで上昇している。しかし、これまでの所は、本邦通貨当局は口先介入に留まっているため、円買い介入の実施水準は、昨年10月21日に第2弾の円買い介入が実施された150円台まで引き上げられているのかもしれない。
 鈴木財務相は、先週1日の閣議後の記者会見で、円安が進んでいる為替相場について「市場で決定されるものだが急激な変動は望ましくない。今後も動きを注視したい」と述べ、これまで通りの円安牽制発言に留まった。

 今週は、19-20日の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げの有無の判断材料になる地区連銀経済報告(ベージュブック)が発表される。
 パウエルFRB議長は、ジャクソンホール講演で、「FRBは経済指標に基づき、次の金利の道筋を決定する。追加利上げか据え置きか、慎重に決定する。新たに入手するデータや進展する見通しとリスクを見極めつつ、今後の会合で政策を慎重に進めていく位置につけている」と述べ、経済指標次第の金融政策運営を行う姿勢を強調した。

 FRBがインフレ指標として注視している7月のPCE総合価格指数は前年比+3.3%と、6月の同比+3.0%から伸び率が上昇していたため、利上げの可能性を高めている。
 8月の失業率は3.8%と、7月の3.5%から上昇していたため、据え置きの可能性を高めたものの、労働参加率が2020年2月以来の高水準となる62.8%まで上昇していたことが要因となっている。
 8月の非農業部門雇用者数は、前月比18.7万人の増加となり利上げ要因だが、7月と6月が11万人下方修正され、直近3カ月の平均が+14.9万人となっていることは、据え置き要因となるのかもしれない。また、平均時給は労働参加率が62.8%まで上昇したことで、賃上げ圧力が緩やかに後退している可能性を示唆している。



(山下)
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