東京為替見通し=ドル円は堅調推移だが、引き続き円買い介入の可能性には要警戒か

 6日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、予想を下回った8月米サービス部門・総合購買担当者景気指数(PMI)改定値を受けて147.13円付近まで下落後、予想を上回った8月米ISM非製造業景況指数を受けて147.74円付近まで反発した。ユーロドルは、クノット・オランダ中銀総裁のタカ派発言で1.0749ドルまで上昇後、米長期金利の上昇で1.0703ドルまで反落した。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、米10年債利回りや原油価格の高止まりを背景に堅調推移が予想されるものの、本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入の可能性には引き続き警戒する展開が予想される。

 米地区連銀経済報告(ベージュブック)によると、米国の経済と雇用市場の伸びが7月と8月に鈍化したことが示され、大半の地区は物価上昇が総じて減速したと報告したことが示された。9月19-20日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、地区連銀経済報告や8月の消費者物価指数(CPI)(※前年比+3.2%)や9月のCPI、そして8月失業率(3.8%)などを判断材料に、高金利の長期化(higher for longer)が継続するのか否かが決定されることになる。
 米国8月のISM製造業景気指数は47.6だったが、国内総生産(GDP)に換算すると-0.4%に相当するとのことである。米国8月のISM非製造業景気指数は54.5だったが、GDPに換算すると+1.6%に相当するという。アトランタ連銀の経済予測モデル「GDPナウ」が示唆する7-9月(第3四半期)のGDP伸び率は年率+5.6%となっている。

 昨日のドル円147円台では、神田財務官が急激な為替変動が続いた場合は「あらゆる選択肢」を排除せず、適切に対応する考えを示した。
 昨年9月22日の本邦通貨当局による145円台での第1弾ドル売り・円買い介入の前には、神田財務官は「どんな場合でも、あらゆるオプションがアベイラブル(利用可能)であって、何かを排除しているわけではない」と述べていた。すなわち、「あらゆる選択肢、オプション」という介入実施を予告する警告が発せられたのかもしれない。

 昨年の本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入は、輸入インフレという「悪い円安」論が横行する中、「ボラティリティーを抑制する」という大義名分の下で断行された。
 昨年の円買い介入が実施された時間帯とボラティリティーを測るボリンジャー・バンド+2σの水準は以下の通りとなっており、本日も、同様の時間帯に警戒しておきたい。
 9月22日の第1弾の円買い介入(2兆8382億円)は、東京時間17時30分過ぎ、ドル円が高値145.90円まで上昇した局面で実施され、+2σは146.12円だった。
 10月21日の第2弾の円買い介入(5兆6202億円)は、東京時間23時30分過ぎ、ドル円は高値151.95円まで上昇した局面で実施され、+2σは150.39円だった。
 10月24日の第3弾の円買い介入(7296億円)は、東京時間8時30分過ぎ、ドル円は高値149.71円まで上昇した局面で実施、+2σは150.69円だった。
 本日の+2σは147.70円付近に位置している。

(山下)
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