東京為替見通し=ドル円は150円を巡る攻防、豪ドルは豪CPIに要注目か

 24日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、米10月購買担当者景気指数(PMI)速報値の上振れを受けて149.93円まで上昇したものの、政府・日銀による為替介入への警戒感から伸び悩む展開となった。ユーロドルは欧州時間に発表されたドイツやユーロ圏の10月OPありPMI速報値が低調な内容だったこと、米国の10月PMI速報値が予想より強い内容だったことで1.0583ドルまで下落した。ユーロ円は158.54円まで下落した。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、150円という本邦通貨当局のドル売り・円買い介入警戒水準に接近していることで、実弾介入の有無に警戒していく展開が予想される。

 ドル高・円安の根幹にある日米金融政策の方向性に関しては、日銀のインフレ見通しやYCCの修正観測と米連邦準備理事会(FRB)の政策金利据え置き観測により、150円台に乗せていく状況ではない。
 10月30-31日の日銀金融政策決定会合では、経済・物価情勢の展望(展望リポート)で、2023年度と24年度のコア消費者物価指数の前年度比上昇率の見通しが上方修正となる可能性、イールドカーブコントロール(長短金利操作、YCC)の再修正の可能性は、円安抑制要因となる。しかし、「大規模緩和策は維持する公算」との新聞報道もあり、予断を許さない状況が続く。
 7月に神田財務官が日銀の金融政策に言及した後、日銀金融政策決定会合でYCCの運用柔軟化が決定されており、今月16日に神田財務官が金融政策に言及したことで、YCCの運用柔軟化の可能性が警戒されている。

 10月31-11月1日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、米国中長期金利の上昇が利上げの代替となるとの見立てや中東情勢の不透明感から、政策金利据え置き観測が高まっており、ドルの上昇を抑制する要因となっている。すなわち、米10年・30年債利回りが一時5%台まで上昇していることで、FF金利誘導目標5.25-50%を引き上げる必要性が後退している、との見立てである。

 またドルの上値を抑える懸念材料としては、全米自動車労組(UAW)が自動車メーカーに対するストライキを再び拡大していること、米下院議長の選出が難航しており、議長不在の下院が機能不全に陥っていることなどが挙げられる。

 9時30分に発表される7-9月期豪消費者物価指数(CPI)は前期比+1.1%/前年同期比+5.3%)、9月の豪CPIの予想は前年同月比+5.4%と予想されている。
 3日の豪準備銀行(RBA)理事会の議事要旨では、「インフレ率が依然として目標を大幅に上回っており、しばらくはその状態が予想される。さらなる金利引き上げが必要かどうかは、今後のデータに依存する」となっていた。11月7日のRBA理事会に向けて、インフレ状況に要注目となる。
 ブロックRBA総裁は、インフレ見通しが大幅に上方修正された場合、追加利上げをためらわないと表明している。



(山下)
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