東京為替見通し=リスクセンチメントを見定め、指標は豪CPIに注目

 昨日の海外市場では欧米株安を背景にリスク回避姿勢が強まり、全般円買い・外貨売りが進行した。ユーロ円は一時146.29円と東京午前につけた高値から2円以上もユーロ安に傾いた。米長期金利の低下も重しとなり、ドル円は133.37円まで下値を広げた。
 ユーロドルもアジア前半の高値圏1.1060ドル台から1.0964ドルまで下落した。

 本日の東京為替市場でドル円は、昨日のリスクセンチメント悪化の流れがどの程度まで引き継がれるかを見定めながらの取引となる。結局、時間外の米株指数や同10年債利回りの動向に振らされる展開か。また、経済指標では豪インフレ指標が注目される。

 昨日の米株式市場では、地域銀行の経営不安に端を発した金融株の軟調さが目立った。もっとも、引け後に発表された四半期決算を受けて、時間外のマイクロソフトやアルファベット(グーグルの親会社)は日中に下落した以上に反発。このあたりが好感されアジア株も下げ渋るようだと、クロス円を中心に昨日の反動という場面があるかもしれない。

 一方、債券市場はリスクへの警戒感を強めている。米10年債利回りは前日比9ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低い3.40%、同2年債利回りに至っては13bpも低下した3.95%で終えた。10年債利回りが今月前半に低下した3.25%割れが意識されるようだと、緩和継続が確実視される日銀金融政策決定会合を27-28日に控えていても、ドル円の上値は限定となってしまうか。

 気になるところでは、一部通信社も報じている米国の通貨供給量(マネーサプライ)が急速に縮小していること。3月分のM2(現預金や少額の定期預金、個人向けMMFなどを含む)は、前年同月比4%超まで減少幅を拡大した。同指数は昨年12月に前年同月比1.4%低下し、統計が遡れる1960年以降で初めて月次ベースでの減少となった。その後も減少幅は広がっており、インフレの重要な要因の1つとされる同指数の縮小は、米連邦準備理事会(FRB)の金融政策決定に影響を与えそうだ。

 本日アジア・オセアニア市場での重要イベントは、10時30分に発表される豪の消費者物価指数(CPI)。予想はそれぞれ、3月分が前年比6.5%、1-3月期は前期比1.3%/前年同期比6.9%と前回から伸び率鈍化が見込まれている。来週5月2日には豪準備銀行(RBA)理事会を控えており、結果に対して市場は敏感に反応しそうだ。なお短期金融市場は、足もとではRBAの据え置き決定を織り込みつつあるも、夏終わりまでは上向きリスクを見込んでいる。

(小針)
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