東京為替見通し=豪CPIを見極めた後は、スポット末関連の取引に要警戒か

 28日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、米長期金利の低下で130.41円まで下落後、予想を上回った3月米消費者信頼感指数などで131.18円付近まで反発したものの、ダウ平均の下落を受けて130.57円付近まで押し戻された。ユーロドルは欧米の金融システム不安が後退したことやユーロ圏経済の底堅さを背景に、欧州中央銀行(ECB)が利上げを継続するとの観測が高まり、1.0849ドルまで上昇した。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、欧米の金融システムへの警戒感が後退したことで底堅い展開が予想されるものの、3月期末決算に向けた本邦機関投資家によるレパトリエーション(国外滞留資金の本国環流)や本邦輸出企業からのドル売りには警戒しておきたい。

 昨日のドル円は、本邦輸出企業による月末・期末に向けたドル売りで131円台半ばから130円台半ばまで下落した。本日はスポット末日となるため、3月期末決算に向けた取引には警戒しておきたい。

 昨日、バイデン米大統領は、米地方銀2行の破綻やスイス金融大手クレディ・スイスの経営不安などに関して、可能な限り対応したものの、銀行危機は「まだ終わっていない」との認識を示した。最新のエコノミスト調査では、米国経済がリセッション(景気後退)に陥るとの見通しが高まっており、予断を許さない状況が続いている。
 2008年3月に経営破綻したベア・スターンズをJPモルガンが買収した時、バーナンキ第14代FRB議長は「この問題はこれで終わり」と終了宣言したが、9月にはリーマンショックというグローバル金融危機に襲われた。

 9時30分に発表される2月豪消費者物価指数(CPI)は、前年比+7.1%と予想されており、1月の前年比+7.4%からの伸び率の鈍化が見込まれている。
 オーストラリアの月次のCPIは、昨年12月は11月の+7.3%から+8.4%まで上昇した後、今年1月に7.4%まで低下しており、2月が予想通りだった場合は、昨年12月にピークアウトした可能性が高まることになる。
 3月7日に開催された豪準備銀行(RBA)金融政策決定会合での議事要旨では「次回会合で利上げ休止について再検討する」ことが示された。短期金融市場ではすでに利上げ局面の休止と7月4日会合での利下げ転換を織り込み始めており、金利先高観は急速に後退している。

 豪ドル円は、2月15日の高値93.05円から86円台まで下落トレンドを形成している。
 豪ドル/ドルも、2月2日の高値0.7158ドルから0.65ドル台まで下落トレンドを形成している。

 2月のCPIが予想を下回る伸び率鈍化となった場合、豪ドルの売りに拍車がかかる可能性に警戒しておきたい。
 オーストラリア関連では、チャーマーズ豪財務相が27日にラガルドECB総裁、28日にイエレン米財務長官と金融システムや金利上昇による影響を協議し、明日30日に金融規制協議会を招集する予定となっている。オーストラリアの金融システムに関するヘッドラインなどには警戒しておきたい。



(山下)
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