東京為替見通し=ドル円 明朝のFOMC声明待ち、豪ドルは豪CPIに要注目

 25日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、米10年債利回り上昇で141.73円までドル高に振れたあと、ロンドン・フィキシングのドル売りで140.86円まで反落。ユーロドルは1.1021ドルまで続落。欧州時間発表の7月独Ifo企業景況感指数が弱かったこと、7月米消費者信頼感指数や7月米リッチモンド連銀製造業指数が予想を上回ったことなどが影響した。ユーロ円も欧州景気不安の台頭により155.62円まで下落した。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、明朝3時に発表される米連邦公開市場委員会(FOMC)声明待ちで動きづらくなりそうだ。一方で豪ドルは、4-6月期豪消費者物価指数(CPI)を見極める展開となる。

 10時30分に発表される4-6月期豪CPIは、前年同期比で+6.2%予想と1-3月期同比+7.0%からの減速見込み。また、6月のCPIは前年比予想+5.4%と、2022年2月の+4.8%以来1年4カ月ぶりの低水準が見込まれている。

 豪CPIが予想通りに伸び率が鈍化し、8月1日の豪準備銀行(RBA)理事会では7月会合に続いて政策金利4.10%の据え置き観測が高まれば、豪ドルの上値を抑える要因となるだろう。リスクシナリオは、インフレ率が予想を上回って減速ペースが緩んだ場合、あるいは逆に予想を大幅に下回り、インフレ低下が顕著となった場合か。

 明朝発表されるFOMC声明では、FF金利誘導目標の11回目の利上げ(+0.25%⇒5.25-50%)が確実視されている。

 タカ派的なシナリオは、年末に向けた残り3回(9月、11月、12月)のFOMCで12回目の利上げ(+0.25%)の可能性が示唆され、年末のFF金利の見通しがドット・プロット(金利予測分布図)通りの5.50-75%と再確認された場合。ハト派的なシナリオは、残り3回のFOMCでの利上げはデータ次第と表明された場合となる。

 なお、米10年債利回りは3.80%台で上昇力が鈍っている。米国長期債券市場は、7月FOMCが最後の利上げ、そして来年以降のFEDピボット(FRBの利下げ転換)を織り込み始めたとも言える。

 結果を受けたドル円の値動きだが、見込み通りに0.25%利上げが決定されても、その後は28日の日銀金融政策決定会合を待つ展開が予想され、上値は限定的となるかもしれない。

 昨年9月を振り返ると、21日FOMCの0.75%利上げでFF金利誘導目標が3.00-25%に引き上げられ、22日の日銀決定会合で大規模金融緩和策の継続が決定された。そして15時半からの会見で、当時の黒田総裁が「当面金利を引き上げることはない」と述べた。ドル円は145.90円まで急騰も、その後に本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入が断行された。

(山下)
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