ロンドン為替見通し=ピル英MPC委員、総裁と見解異なるか、序盤は本邦当局介入を警戒

 本日のロンドン為替市場では、序盤は本邦金融当局による円買い介入への警戒感を維持し、また日本時間17時台に予定されている英中銀チーフエコノミストのピル金融政策委員会(MPC)委員の講演内容も注目される。

 ドル円は昨日、1週間ぶりとなる151円台まで上昇。先週末に下げたところからの反発は、本邦実需から断続的に持ち込まれた円売りと、米連邦公開市場委員会(FOMC)や雇用統計後に作ったドル売りポジションを投機筋が手仕舞ったことによるもの。

 大台回復で市場では、1週間前に神田財務官が「介入スタンバイ」と述べたことが話題となっている。当局による為替介入はニューヨーク市場などでも行われるものの、前回から間隔があいた場合は「東京市場の参加者が取引している時間帯に実施」が通例のようだ。金融機関によってまちまちではあるが、日本時間17時頃までを介入の一つのめどとしたい。

 しかしながら実際に実弾が投入されても、米長期金利の低下や原油先物の大幅下落にもかかわらずドルが下がらない相場の流れを変えるには、かなり肝っ玉が据わった介入が必要だろう。現在の当局にそれができるのかを問われる週後半となりそうだ。

 英金利の先安観が強まるなか、昨日のポンドドルは1.2250ドル割れまで売りが先行。もっとも、下値の確認後は1.23ドル台まで反発する場面があった。切り返したきっかけの一つは、ベイリー英中銀(BOE)総裁が市場の利下げ観測を否定したこと。総裁は、「利下げについてMPC内では議論されていないことを明確にしている」と述べた。

 今週初にピル英中銀チーフエコノミストが、来週のインフレ率が急低下すると見方を示した。また、市場が来夏にも0.25ポイントの利下げを織り込んでいることに対し、同氏は容認とも受けとれるような発言をしている。昨日のベイリー総裁の発言を受け、ピル氏の口調がどのような見解を述べるのかが焦点となりそうだ。なお、英中銀総裁の利下げ議論は時期尚早を受けても、短期金融市場では来年3回の0.25ポイント利下げを織り込んだまま。

 ほか本日の欧州前半には、ビルロワドガロー仏中銀総裁やレーン欧州中央銀行(ECB)専務理事兼チーフ・エコノミストの講演も予定されている。

想定レンジ上限
・ドル円、10月31日高値151.72円
・ポンドドル、7日高値1.2349ドル

想定レンジ下限
・ドル円、日足一目均衡表・基準線149.95円
・ポンドドル、21日移動平均線1.2200ドル

(小針)
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