NYマーケットダイジェスト・14日 米CPI下振れで金利低下・株高・ドル安

(14日終値)
ドル・円相場:1ドル=150.37円(前営業日比▲1.35円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=163.60円(△1.29円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.0879ドル(△0.0181ドル)
ダウ工業株30種平均:34827.70ドル(△489.83ドル)
ナスダック総合株価指数:14094.38(△326.64)
10年物米国債利回り:4.45%(▲0.19%)
WTI原油先物12月限:1バレル=78.26ドル(横ばい)
金先物12月限:1トロイオンス=1966.5ドル(△16.3ドル)

※△はプラス、▲はマイナスを表す。

(主な米経済指標)         <発表値>    <前回発表値>
10月米消費者物価指数(CPI)
前月比                0.0%       0.4%
前年比                3.2%       3.7%
エネルギーと食品を除くコア指数
前月比                0.2%       0.3%
前年比                4.0%       4.1%

※改は改定値、▲はマイナスを表す。

(各市場の動き)
・ドル円は7日ぶりに反落。10月米消費者物価指数(CPI)が前月比横ばい/前年比3.2%と予想の前月比0.1%/前年比3.3%を下回り、エネルギーと食品を除くコア指数が前月比0.2%/前年比4.0%と予想の前月比0.3%/前年比4.1%より弱い内容だったことが分かると、米長期金利の低下とともに全般ドル売りが優勢となった。5時30分過ぎに一時150.16円と日通し安値を更新した。
 なお、市場では「米連邦準備理事会(FRB)の積極的な利上げサイクルは終了した」との見方が浮上。米長期金利の指標となる米10年債利回りは一時4.4298%前後まで急低下した。

・ユーロドルは3日続伸。欧州時間発表の11月独ZEW景況感指数が予想を上回ったことを受けてユーロ買いが先行。米CPIの下振れをきっかけに全般ドル売りが活発化すると、一時1.0887ドルと8月31日以来の高値を更新した。市場では「200日移動平均線が位置する1.0803ドルを上抜けてたことでテクニカル的にも買いが入りやすかった」との声が聞かれた。
 主要通貨に対するドルの値動きを示すドルインデックスは一時103.99と9月1日以来の低水準を付けた。

・ユーロ円も3日続伸。米インフレ指標の下振れを受けてダウ平均が一時590ドル超上昇すると、リスク・オンの円売りが優勢となり、2時前に163.82円と2008年8月以来の高値を更新した。
 ユーロ円以外のクロス円も堅調だった。ポンド円は一時188.29円と15年11月以来の高値、豪ドル円は97.94円と22年9月以来の高値、NZドル円は90.39円と15年5月以来の高値を更新した。また、スイスフラン円は一時169.40円と史上最高値を記録した。

・米国株式市場でダウ工業株30種平均は3日続伸。10月米CPIの下振れを受けて、FRBの金融引き締めが長期化するとの懸念が後退すると買いが広がった。
 ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は大幅反発。米長期金利が大幅に低下したことで、高PER(株価収益率)のハイテク株には買いが集まった。

・米国債券相場で長期ゾーンは大幅に続伸。10月米CPIの下振れを受けて、米金融引き締めが長期化するとの懸念が後退すると買いが膨らんだ。利回りは一時4.4298%前後と9月22日以来の低水準を付けた。

・原油先物相場は横ばい。米金利の先安観から株高が進み、リスク志向ムードのなか原油買いも強まった。国際エネルギー機関(IEA)の月報で、来年までの石油需要見通しが引き上げられたことも相場の支えに。もっとも節目の80ドルには届かず一転売り戻し優勢になると、ロングの投げを巻き込んで78ドル割れまで下押す場面もあった。週間の石油在庫データが積み増しになるとの見通しも重しになったようだ。

・金先物相場は続伸。10月米CPIの予想比下振れを受けて、米・中長期金利が大幅に低下。金利を生まない金にとっては追い風となり、上昇力が強まった。また為替相場ではドル安が一気に進んだため、ドル建て金に割安感が生じたことによる買いも集まった。

(中村)
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