週間為替展望(豪ドル/ZAR)- 豪ドル、10月CPIに注目

◆豪ドル、10月CPIで広範な物価上昇が確認されるか注目
◆NZドル、年内最後のRBNZ金融政策ではインフレに対する見方に注目
◆ZAR、来年初頭にも利下げの観測浮上

予想レンジ
豪ドル円 96.00-100.00円
南ア・ランド円 7.60-8.20円

11月27日週の展望
 豪ドルは底堅い展開が予想される。21日に公表された今月分の豪準備銀行(RBA)理事会議事要旨では、今後の金融政策について「今後のデータが経済見通しをどのように変えるか、またリスク評価の進展に依存する」とこれまでとほぼ同様の見解を示したが、「インフレを巡るスタッフ予想からみると利上げはあと1-2回となる見通し」との言及もみられた。そのうち1回分の利上げは今月実施されたが、追加利上げの可能性は依然として残ったままとなっている。

 また、ブロックRBA総裁はその後の講演で「価格上昇が消費者物価指数(CPI)項目の広範囲にわたり、インフレがますます国内主導、需要主導になっている」として、金利がしばらく高止まる可能性が高いことを改めて示唆。議事要旨と併せて豪金利先高観はさらに高まった格好となった。

 来週は29日に公表される10月CPIに注目が集まるだろう。RBA総裁の発言を裏付けるような広範な物価上昇が確認されれば、豪追加利上げ期待の高まりとともに豪ドル相場を下支えすることになりそうだ。そのほかでは28日に10月小売売上高、30日に10月住宅建設許可件数や7-9月期民間設備投資などが予定されている。

 隣国のニュージーランドでは29日に年内最後となるNZ準備銀行(RBNZ)金融政策決定会合が予定されている。市場予想は5.50%での金利据え置きとなっており、注目は声明文の内容となるだろう。足もとのインフレ率がRBNZの目標レンジである1-3%からまだ距離があることを考慮すると、「政策金利を当面抑制的な水準に維持する必要がある」との基本方針に変化はないだろうが、一部市場では「これまで得られたデータからみると今後の四半期CPIは予想を下回る内容になるだろう」との声も聞かれており、RBNZのインフレに対する見方に注目しておきたい。

 南アフリカ・ランド(ZAR)はさえない展開となりそうだ。23日に公表された南アフリカ準備銀行(SARB)の政策金利は市場予想通りの据え置き。全会一致での決定となった。クガニャゴSARB総裁は「インフレ見通しは深刻な上昇リスクがある」などの見解を示した一方、「2025年までにインフレ率が目標の範囲内に収まるとの見方を変えていない」と言及したが、市場ではSARBの次の一手は利下げとなり、早ければ来年初頭にも利下げに転じるとの見方が増えつつあるようだ。なお、来週は30日に10月卸売物価指数(PPI)や10月貿易収支などが発表予定となっているが、今週既にCPIが発表済みとあって、相場への影響は限られそうだ。

11月20日週の回顧
 豪ドルはドル相場の動向に振らされて対ドル・対円でともに上下したが、総じて底堅く推移。RBA総裁のタカ派的な発言なども相場を下支えした。ZARは弱含み。対ドルを中心にZAR売りが進み、ZAR円もつれ安となった。22日の10月CPIや23日のSARB金融政策公表後には相場が上下に振らされる場面も見られたが、影響は一時的だった。(了)
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