東京為替見通し=ドル円、米長期金利の低下で下値模索の動きが続くか

 先週末のニューヨーク外国為替市場でドル円は反落した。予想比下振れの11月米ISM製造業景況指数の結果を受けて米10年債利回りが約3カ月ぶりの水準まで低下し、ドル円は9月12日以来の安値となる146.66円まで下押した。ユーロドルは小幅ながら3日続落した。ビルロワドガロー仏中銀総裁が来年の利下げに言及したことも手がかりにユーロ売りが優勢となり、ユーロドルは1.0829ドルまで安値を更新し、ユーロ円はドル円の下落にも後押しされ、11月3日以来の安値となる159.65円まで弱含んだ。

 米長期金利の低下基調が続いており、ドル円は下方向への警戒感は続くと想定される。11月の米債券のリターンは1980年代以来最高を記録したと報じられた。11月の米債券市場には、雇用の伸び鈍化と消費者物価指数(CPI)の鈍化が追い風となり、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長やウォラーFRB理事のハト派的発言が相場上昇に拍車をかけた。この米長期金利の低下が12月も続くかどうかは米経済とインフレの減速および米金融当局の金利見通しの変化に関わるが、12月スタートの先週末は米10年債利回りが一時4.1956%前後と約3カ月ぶりの低水準を付けた。

 先週末、パウエルFRB議長は「金融緩和の時期を推測するのは時期尚早」と述べ、早期の利下げ転換を織り込む市場をけん制し、「適切だと判断すればさらに金融政策を引き締める用意がある」とも強調した一方で、現行の金融政策を「十分に引き締め的」との見解を示した。シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」によると、来年3月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げ実施の確率は6割超まで上昇している。日銀の金融政策正常化期待は高まっておらず、円に買い材料は乏しいままだが、足もとでは米国が利上げ終了から利下げに向かうとの観測が高まっていることでドルの重い動きが続いており、ドル円は一段と調整売りに押される可能性がある。

 本日は東京市場だけではなく、海外市場でも注目度の高い経済指標の発表は予定されておらず、ドル円は米長期金利や株価の動向を睨んだ動きが予想される。米感謝祭前のドル円の下落局面では米商品先物取引委員会(CFTC)が発表した円ショートが13万249枚と約6年ぶりの大きい水準になっていることが話題になったが、CFTCが先週末に発表した11月28日時点の円ショートは10万9237枚とそれほど大きく縮小しているとは言えない。ドル円は9月11日以来の145円台が視野に入っており、145円の大台を維持できるかどうかにも注目したい。

(金)
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