週間為替展望(豪ドル/ZAR)-豪ドル、雇用統計に注目

◆豪ドル、対ドルは米豪両国とも利下げ観測後退で動きにくい
◆豪ドル、雇用統計に注目
◆ZAR、与党の支持率急落の中で野党マニフェストの内容に警戒

予想レンジ
豪ドル円 95.00-99.50円
南ア・ランド円 7.50-8.00円

2月12日週の展望
 豪ドルは、対ドルでは大きな方向感は示せないだろうが、対円や対欧州通貨では下値が限られそうだ。

 今週の豪準備銀行(RBA)理事会では、市場予想通りに政策金利を4.35%に据え置いた。ただ、声明では「さらなる金利上昇の可能性を排除することはできない」との見解が示されている。米豪両国の利下げ開始予想が後ずれし、対ドルでは値動きが限定される可能性が高い。一方で欧州中央銀行(ECB)は4月での利下げ予想が高まっているほか、日本では21カ月連続で実質賃金が下がるなど早期の金融政策正常化が遅れる可能性も出てきている。対ユーロや対円では堅調地合いを維持しそうだ。

 来週の豪州で注目される経済指標は、15日に発表される1月の雇用統計。12月の失業率は3.9%で前月から横ばいだったが、新規雇用者数が6.51万人減少し、中でも常勤雇用者数が10.66万人も減少するという結果となった。市場は豪ドル売りで反応したものの、結局は下げ渋った。ただ、2カ月連続で市場の期待を裏切る結果となった場合には、豪ドルの重しになることが予想される。なお、その他では13日に1月のNAB企業信頼感・景況感が発表予定。

 NZからは13日に第一四半期の2年インフレ予想が発表される。昨年は3.30%、2.79%、2.83%、2.76%と推移したインフレ予想だが、昨年最後に行われたNZ準備銀行(RBNZ)の金融政策委員会(MPC)でオアRBNZ総裁は、「インフレに対するリスクはまだ上向き」との見解を示したほか、「利上げについても議論した」と述べている。また、昨年12月にはホークスビーRBNZ副総裁も講演で「インフレ期待は高まり始めており、中銀は真剣に受け止める必要がある」と述べていることもあり、インフレ予想を上方修正する可能性がある。

 南アフリカ・ランド(ZAR)は上値が限られそうだ。南アからの経済指標は14日に1月のSACCI企業景況感、12月小売売上高が発表される。また、5月の選挙に向けて野党の経済的解放の闘士(EFF)が13日にマニフェストを公表する予定になっている。今週行われた最新の世論調査では与党アフリカ民族会議(ANC)の支持率が4割程度に急落した。アパルトヘイト後の国政選挙で常に過半数を維持していたANCだが、野党のマニフェストの評価次第では更に支持率が低下する可能性もあり、警戒したい。

2月5日週の回顧
 豪ドルは、対円や対欧州通貨では堅調地合いを維持した。RBA理事会で政策金利を4.35%で据え置くことを決めたが、声明で「さらなる金利上昇の可能性を排除することはできない」との見解が示されたことが豪ドルを支えた。ただ、対ドルでは、FOMC後のパウエルFRB議長のタカ派発言や、強い1月米雇用統計を受けて米豪の利下げ観測が後退。横ばいの推移となった。

 ZARは上値が重かった。米金利の上昇に連れてドルが底堅さを維持したことがランドの重しになった。また、需給的に2月はZARが軟調に動くことが多いこともあり、心理的な売り圧力がZARの上値を抑えている。(了)
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