ニューヨーク外国為替市場概況・8日 ドル円、4日続落

 8日のニューヨーク外国為替市場でドル円は4日続落。終値は147.06円と前営業日NY終値(148.05円)と比べて99銭程度のドル安水準だった。日本時間夕刻に伝わった「日銀は18-19日の金融政策決定会合でマイナス金利解除に傾く政策委員が増えている」「日銀は国債買い入れ規模を示す新たな量的金融政策の枠組みを検討」との観測報道を受けて、欧米市場でも円買いが入りやすい地合いとなった。
 米労働省が発表した2月米雇用統計で非農業部門雇用者数が前月比27.5万人増と予想の20.0万人増を上回ったことが伝わると、当初はドル買いで反応し一時147.45円付近まで値を戻す場面があった。ただ、過去2カ月の数値が下方修正されたほか、失業率が3.9%と予想の3.7%よりも悪化し、平均時給が前月比0.1%上昇/前年比4.3%上昇と予想の前月比0.3%上昇/前年比4.4%上昇を下回ったことからすぐに失速。米連邦準備理事会(FRB)の早期利下げが意識される中、ドル全面安の展開になると一時146.49円と2月2日以来の安値を更新した。
 市場では米雇用統計について「予想よりも弱めの内容と受け止められ、FRBが近く利下げに動くとの観測が改めて台頭した」との声が聞かれた。

 ユーロドルは3営業日ぶりに小反落。終値は1.0939ドルと前営業日NY終値(1.0948ドル)と比べて0.0009ドル程度のユーロ安水準だった。米雇用統計発表直後に一時1.0921ドルと日通し安値を付けたものの、FRBの早期利下げ観測が高まる中、一転ドル売りが優勢になると一時1.0981ドルと1月12日以来の高値を付けた。
 ただ、「欧州中央銀行(ECB)当局者らは初回利下げについて6月を圧倒的に支持している」との一部報道が伝わり、ECBの利下げが意識されると徐々に弱含んだ。3時30分過ぎには1.0934ドル付近まで押し戻された。なお、「依然として4月利下げ開始を主張する一部当局者の支持を得るために、7月に2回目の利下げを行うという案も浮上している」という。

 ユーロ円は4日続落。終値は160.86円と前営業日NY終値(162.08円)と比べて1円22銭程度のユーロ安水準。日銀の早期政策修正観測が高まる中、日本時間夕刻に一時160.62円と日通し安値を付けたが、NY時間に限れば161.00円を挟んだもみ合いに終始した。ドル円とユーロドルの値動きの影響を同時に受けたため、相場は方向感が出なかった。

 代表的な暗号資産(仮想通貨)であるビットコインは乱高下。対ドルで一時7万0085ドル前後と7万ドルの大台を突破し史上最高値を更新したものの、最高値を更新した達成感から利益確定目的の売りが膨らむと急失速した。1時過ぎには6万6186ドル前後と日通し安値を付けた。もっとも、先高観を背景に押し目買い意欲も旺盛で下押しは限定的。取引終盤には6万9000ドル台半ばまで持ち直した。

本日の参考レンジ
ドル円:146.49円 - 148.12円
ユーロドル:1.0921ドル - 1.0981ドル
ユーロ円:160.62円 - 162.17円

(中村)
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