株式明日の戦略-来週は中銀イベントに振り回される一週間

 来週は日銀金融政策決定会合(3/18~19)とFOMC(3/19~20)が大きな注目を集める。日銀会合ではここ数日の報道などから4月ではなく、3月に何らかの変更・修正があるのではないかとの見方が強まっている。これまでの傾向から、日銀が動くのであれば、事前の観測報道などで周知が進むことになるだろう。3月に動かなかった場合でも次回(4月25日~26日)についての示唆はあると思われる。メガバンクを筆頭に金融株は、上昇再開か材料出尽くしで調整入りかの分岐点を迎えている可能性がある。

 FOMCに関しては、今回は政策金利の据え置きを完全に織り込んでいる。ただ、直近で出てきた物価指標が市場予想を上回っているだけに、パウエルFRB議長の会見での発言は注目される。市場の利下げに対する期待を削がないハト派的なコメントが出てくれば、半導体株を中心にグロース株の再評価機運が高まる。逆に発言がタカ派的と受け止められた場合には、グロース株にはもう一段の調整余地がある。

 グローバル株式市場を見る上では、米国の長期金利上昇を抑制できるかが焦点となる。仮にFOMCが失望材料になったとしても、米国の長期金利が大きく上昇しなければ、市場の混乱は一時的にとどまる公算が大きい。ただし、現状4.2~4.3%近辺で推移している米10年債利回りが4.5%に向けて上昇してしまうような状況になってしまうと厳しい。今回は日銀会合が波乱含みでFOMCは無風通過という印象も強いが、むしろFOMCを波乱なく通過できるかという点に注意を払っておきたい。

【来週の見通し】
 不安定な展開か。水曜20日が休場で、前半に日銀金融政策決定会合を消化し、休場明けの木曜21日にFOMCの結果を消化する。日銀会合に関しては、直近でマイナス金利解除観測などが出てきており、会合後の植田総裁会見まで含めて、どういったメッセージが市場に届けられるかが大きく注目される。FOMCでは政策金利の据え置きが濃厚で、この点でのサプライズはないと思われるが、声明文やパウエルFRB議長の会見が相場をかく乱する展開も想定される。両イベントとも通過すれば先行き不透明感の払しょくにはつながる。ただ、反応は読みづらく、片方が買い材料、もう片方が売り材料となったり、買い(売り)となった翌日に逆の動きが出てくることもあり得る。債券市場や為替市場の振れ幅も大きくなると思われ、日々荒い動きが続くと予想する。


【今週を振り返る】
 軟調となった。日経平均は週明けの11日に一時1200円近く下げて終値でも800円を超える下落。米国でエヌビディア株が大きく値を崩したことが警戒材料となり、楽観ムードが急速に萎んだ。この日に39000円を割り込むと、水曜13日まで3日続落。12日には38200円台まで水準を切り下げた。38500円より下では押し目を拾う動きも見られた。ただ、米国では消費者物価指数(CPI)に続いて生産者物価指数(PPI)も市場予想を上回り、長期金利が上昇。日米で半導体株が調整色を強める中、中小型で値動きが良かった銘柄も多くが値を崩し、週間では大幅安となった。日経平均は週間では続落し、約981円の下落。週足では2週連続で陰線を形成した。

【来週の予定】
 国内では、日銀金融政策決定会合(~3/19)、1月機械受注(3/18)、植田日銀総裁記者会見、2月訪日外客数(3/19)、2月貿易統計、2月首都圏マンション発売(3/21)、2月消費者物価指数(3/22)などがある。

 海外の経済指標の発表やイベントでは、中国2月小売売上高、中国2月鉱工業生産、米3月NAHB住宅市場指数(3/18)、独3月ZEW景況感指数、米FOMC(~3/20)、米2月住宅着工件数、米1月対米証券投資、米20年国債入札(3/19)、パウエルFRB議長記者会見、半導体などの見本市「セミコン・チャイナ」(上海、~3/22)(3/20)、米10-12月期四半期経常収支、米3月フィラデルフィア連銀製造業景気指数、米3月製造業購買担当者景気指数、米2月中古住宅販売(3/21)、独3月Ifo景況感指数(3/22)などがある。
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