週間為替展望(ポンド/加ドル)-加ドル、インフレ鈍化が重しに
◆ポンド、英中銀がハト派に傾きつつあるため上値は限定的
◆加ドル、2月CPIが予想外の減速、インフレ鈍化が重しに
◆月末・四半期末、本邦年度末に絡んだフローに注意
予想レンジ
ポンド円 189.00-194.00円
加ドル円 110.00-113.50円
3月25日週の展望
ポンドは上値が限定的となりそうだ。英中銀金融政策委員会(MPC)がハト派に傾きつつあることが重しとなる。英中銀MPCは21日、政策金利を市場予想通りに5.25%で据え置くことを決定した。注目された9人のメンバーによる投票では、タカ派の2人が利上げ主張を取り下げて8人が現状維持を支持した。もう1人は前回同様に0.25%利下げを訴えている。声明では、「消費者物価指数(CPI)が第2四半期にも中銀のインフレ目標2%をわずかに下回りそうだ」とし、燃料税・凍結の影響としながらも「従来予想より若干低い水準」との物価見通しを示した。
20日発表の2月英CPIは前年比3.4%と鈍化予想を更に下回ったこともあり、ベイリーBOE総裁もMPC後に「インフレ沈静化への明らかな兆しが見えた」と発言。「市場の利下げ見通しは妥当」「行動前にインフレ率が2%になる必要はない」と述べ、今後の利下げの可能性を示唆している。
また、加ドルも、足もとのインフレ鈍化を背景に上値の伸びは限られそうだ。19日発表の2月CPIは、3%台への加速が見込まれた前年比が予想に反して2.8%と鈍化に転じた。1月より物価上昇が減速した要因として、携帯電話やネット接続サービスの料金が大幅に下落したほか、店舗売り食品価格のインフレ緩和が挙げられる。弱いCPIを受けて、短期金融市場では6月BOC会合で0.25%利下げを6割以上織り込んだ。年内の利下げ回数見通しは3回と変わらず。
28日には1月国内総生産(GDP)が発表予定。前月比では前回の横ばいから小幅なプラスが予想されている。月次指標でもあり市場へのインパクトはそれほど強くなさそうだが、さえない結果となればインフレ圧力の更なる緩和が見込まれ、加ドルの重しとなるだろう。
もっとも、日銀会合では緩和的な金融環境の継続が表明されたため、会合後に強まった円安基調はまだ続きそうだ。また、米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果公表後に米金利先安観が再び強まりつつある。そのため、ポンドや加ドルが、対円や対ドルで一方的に売られることもないだろう。各国の金利動向を見極めながらの展開となり、方向感は掴みづらいかもしれない。
気をつけたいのが、月末・四半期末、そして本邦年度末にあたる週ということ。これらに絡むフローは実際に月末当日まで不透明だが、通常より規模も大きく市場への影響は強くなりやすい。特に、今年は月末の29日が聖金曜日の祝日(グッドフライデー)にあたり、英国やカナダだけでなく多くの市場が休場となる。流動性の悪化が予想され、ポジション管理は慎重に行いたい。
3月18日週の回顧
ポンド円は189円半ばから193円半ばまで上昇。加ドル円は2008年以来の112円前半まで上げ幅を拡大した。日銀が利上げを決定したものの、緩和姿勢の継続が表明されて円売りが加速した。ただ、ポンド円はその後に英MPCのハト派寄り声明を受け192円割れまで上値を切り下げている。
ポンドドルはFOMC後に1.28ドル台まで上昇も、BOE総裁の利下げ示唆で1.26ドル半ばへ押し戻された。加ドルは対ドルで1.36加ドル前半から1.34加ドル後半まで加ドル高に振れた。(了)
(小針)
◆加ドル、2月CPIが予想外の減速、インフレ鈍化が重しに
◆月末・四半期末、本邦年度末に絡んだフローに注意
予想レンジ
ポンド円 189.00-194.00円
加ドル円 110.00-113.50円
3月25日週の展望
ポンドは上値が限定的となりそうだ。英中銀金融政策委員会(MPC)がハト派に傾きつつあることが重しとなる。英中銀MPCは21日、政策金利を市場予想通りに5.25%で据え置くことを決定した。注目された9人のメンバーによる投票では、タカ派の2人が利上げ主張を取り下げて8人が現状維持を支持した。もう1人は前回同様に0.25%利下げを訴えている。声明では、「消費者物価指数(CPI)が第2四半期にも中銀のインフレ目標2%をわずかに下回りそうだ」とし、燃料税・凍結の影響としながらも「従来予想より若干低い水準」との物価見通しを示した。
20日発表の2月英CPIは前年比3.4%と鈍化予想を更に下回ったこともあり、ベイリーBOE総裁もMPC後に「インフレ沈静化への明らかな兆しが見えた」と発言。「市場の利下げ見通しは妥当」「行動前にインフレ率が2%になる必要はない」と述べ、今後の利下げの可能性を示唆している。
また、加ドルも、足もとのインフレ鈍化を背景に上値の伸びは限られそうだ。19日発表の2月CPIは、3%台への加速が見込まれた前年比が予想に反して2.8%と鈍化に転じた。1月より物価上昇が減速した要因として、携帯電話やネット接続サービスの料金が大幅に下落したほか、店舗売り食品価格のインフレ緩和が挙げられる。弱いCPIを受けて、短期金融市場では6月BOC会合で0.25%利下げを6割以上織り込んだ。年内の利下げ回数見通しは3回と変わらず。
28日には1月国内総生産(GDP)が発表予定。前月比では前回の横ばいから小幅なプラスが予想されている。月次指標でもあり市場へのインパクトはそれほど強くなさそうだが、さえない結果となればインフレ圧力の更なる緩和が見込まれ、加ドルの重しとなるだろう。
もっとも、日銀会合では緩和的な金融環境の継続が表明されたため、会合後に強まった円安基調はまだ続きそうだ。また、米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果公表後に米金利先安観が再び強まりつつある。そのため、ポンドや加ドルが、対円や対ドルで一方的に売られることもないだろう。各国の金利動向を見極めながらの展開となり、方向感は掴みづらいかもしれない。
気をつけたいのが、月末・四半期末、そして本邦年度末にあたる週ということ。これらに絡むフローは実際に月末当日まで不透明だが、通常より規模も大きく市場への影響は強くなりやすい。特に、今年は月末の29日が聖金曜日の祝日(グッドフライデー)にあたり、英国やカナダだけでなく多くの市場が休場となる。流動性の悪化が予想され、ポジション管理は慎重に行いたい。
3月18日週の回顧
ポンド円は189円半ばから193円半ばまで上昇。加ドル円は2008年以来の112円前半まで上げ幅を拡大した。日銀が利上げを決定したものの、緩和姿勢の継続が表明されて円売りが加速した。ただ、ポンド円はその後に英MPCのハト派寄り声明を受け192円割れまで上値を切り下げている。
ポンドドルはFOMC後に1.28ドル台まで上昇も、BOE総裁の利下げ示唆で1.26ドル半ばへ押し戻された。加ドルは対ドルで1.36加ドル前半から1.34加ドル後半まで加ドル高に振れた。(了)
(小針)