東京為替見通し=ドル円、153円台乗せで新たな局面入りか

 10日のニューヨーク外国為替市場で、ドル円は3月米消費者物価指数(CPI)の上振れを受けて米利下げ開始時期が後ずれするとの観測が高まると、153.24円まで上昇して1990年6月以来の高値を記録。米10年債利回りは一時4.56%台まで上昇した。一方でユーロドルは1.0729ドルまで下落して2日以来の安値を付けた。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、153円台に乗せたことで上値試しの機運が高まることが予想される。

 チャート上では、2022年以降の上値抵抗であった152円の水平ラインと、2023年1月安値を起点とする下値を切り上げるサポートラインで、三角保合の一種とされる「アセンディング・トライアングル」を形成していた。今回、三角保合を上抜いたことで、テクニカル的には上昇再開のサインと解される。

 上値目処については、1990年6月高値155.87円まで主だった目標値が見当たらないこともあり、昨日高値153.24円を突破すると、154円などのきりのよい水準を手掛かりに上値を試すことになるだろう。仮に下押す場合、昨日までの上値抵抗であった152円が下値支持に代わるか注目される。本日も引き続き、米長期金利の動向がドル円相場を左右することが予想されるため注意したい。

 ただし、本邦金融当局者からの円安けん制の動きには注意したい。約34年ぶり高値水準とあって、口先介入のみならず、レートチェックや実弾介入への警戒感も高まっている。また、昨日の米CPI発表後に152.50円前後まで上昇後に50銭程度下押す場面も見られたことから、市場の恐怖心に便乗した「なんちゃって介入(介入もどきの動き)」にも、引き続き気を付けたい。こうした思惑も交わり、上昇時は特に神経質な展開となりそうだ。

 そのほか、中国で3月の消費者物価指数(CPI)と生産者物価指数(PPI)が発表される。市場予想は前年比で+0.4%/-2.8%と、前月(+0.7%/-2.7%)を下回るとみられている。弱めの予想を下回ることとなれば、中国の景気減速が懸念され、アジア株に下押し圧力が掛かりオセアニア通貨をはじめとして影響を受けることもある。こちらの動向にも気を付けたい。

(川畑)
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