週間為替展望(ポンド/加ドル)-ポンド、賃金・CPIで利下げ時期見極め
◆対円、堅調維持も円買い介入に警戒
◆ポンド、英賃金・CPIを受けた利下げ見通しに左右
◆加ドル、3月CPIで伸びの鈍化続くか注目
予想レンジ
ポンド円 188.00-194.00円
加ドル円 109.50-113.50円
4月15日週の展望
金融市場全般が景気・物価動向や雇用情勢を手がかりに利下げ開始時期をめぐる思惑に左右される相場展開が続いている。欧米中銀の利下げ時期や利下げ幅をめぐる思惑は交錯しているものの、年内に利下げに踏み切るとの見方は変わっていない。また、日銀は政策正常化を決定したが、緩和的な金融環境を維持する意向で、投資家のリスク選好は高水準を維持。クロス円は日本当局の円買い介入を警戒しながらも堅調な動きが続くと見込まれる。
ポンドは3月の賃金データや消費者物価指数(CPI)に注目。3月のイングランド銀行(英中銀、BOE)会合でタカ派の2人が利上げ主張を撤回し、利下げに向けた議論を示唆したことで市場では6月会合で利下げを開始するとの思惑が7割超まで高まっている。前回発表の11-1月週平均賃金(除賞与)は6.1%と2022年10月以来の低水準となった。依然として賃金上昇率は高いものの、来週発表の賃金データで伸びの鈍化が再確認されると、賃金上昇の勢いが根強い物価圧力につながるとの懸念が後退しそうだ。また、2月CPIが前年比3.4%に鈍化したことを踏まえると3月CPI次第では利下げ観測が高まる可能性がある。米3月CPIを受けて米利下げへの思惑が緩み、金利面でのポンドの優位性は大きく後退。ポンドは対ドルで売り圧力が強まっている。また、英GDPは1月に前月比0.2%とプラスに転じたが、5月10日発表予定の1-3月期GDPの結果を確認するまでは景気後退をめぐる不透明感は続くと見込まれる。
加ドルもカナダの3月CPIに注目。今週、カナダ中銀(BOC)は6会合連続で政策金利を5.00%に据え置いたうえ、利下げには「物価安定への進展が持続的であるとの確信が必要だ」と示唆した。BOCは経済成長見通しについて、今年は1月時点の0.8%から1.5%に上方修正した一方で、25年は2.4%から2.2%に下方修正した。また、インフレ率は第2四半期に3%前後にとどまるとし、25年末にかけて2%に低下するとの見通しを示した。経済成長の加速が見込まれているなかでも、CPIは今年に入って1月が前年比2.9%、2月が2.8%と低下しているが、中銀は「これが一時的な落ち込みではないとの確信を持ちたい」としている。市場は7月会合での利下げを見込んでいるが、マックレムBOC総裁は6月利下げ開始の可能性を否定していない。3月CPIの重要性が高まっている。目先はドル高の流れが続いており、対ドルでは上値の重い動きが見込まれる。
4月8日週の回顧
今週は予想を上回る3月米CPIを背景にドル買いが優勢となった。米CPIの結果を受けて今年の米利下げ開始が後ずれし、利下げ幅も縮小するとの見方が強まり、ポンドドルは1.25ドル前半、ドル/加ドルは1.37加ドル前半までドル高が進んだ。BOCの会合はほぼ無風で通過し、加ドルの反応は限られた。対円では、1990年6月以来の153円台をつけたドル円の動きが支えとなるも、対ドルでの下落が重しとなり、ポンド円は193円手前で上値が抑えられ、加ドル円は112円近辺で伸び悩んだ。(了)
◆ポンド、英賃金・CPIを受けた利下げ見通しに左右
◆加ドル、3月CPIで伸びの鈍化続くか注目
予想レンジ
ポンド円 188.00-194.00円
加ドル円 109.50-113.50円
4月15日週の展望
金融市場全般が景気・物価動向や雇用情勢を手がかりに利下げ開始時期をめぐる思惑に左右される相場展開が続いている。欧米中銀の利下げ時期や利下げ幅をめぐる思惑は交錯しているものの、年内に利下げに踏み切るとの見方は変わっていない。また、日銀は政策正常化を決定したが、緩和的な金融環境を維持する意向で、投資家のリスク選好は高水準を維持。クロス円は日本当局の円買い介入を警戒しながらも堅調な動きが続くと見込まれる。
ポンドは3月の賃金データや消費者物価指数(CPI)に注目。3月のイングランド銀行(英中銀、BOE)会合でタカ派の2人が利上げ主張を撤回し、利下げに向けた議論を示唆したことで市場では6月会合で利下げを開始するとの思惑が7割超まで高まっている。前回発表の11-1月週平均賃金(除賞与)は6.1%と2022年10月以来の低水準となった。依然として賃金上昇率は高いものの、来週発表の賃金データで伸びの鈍化が再確認されると、賃金上昇の勢いが根強い物価圧力につながるとの懸念が後退しそうだ。また、2月CPIが前年比3.4%に鈍化したことを踏まえると3月CPI次第では利下げ観測が高まる可能性がある。米3月CPIを受けて米利下げへの思惑が緩み、金利面でのポンドの優位性は大きく後退。ポンドは対ドルで売り圧力が強まっている。また、英GDPは1月に前月比0.2%とプラスに転じたが、5月10日発表予定の1-3月期GDPの結果を確認するまでは景気後退をめぐる不透明感は続くと見込まれる。
加ドルもカナダの3月CPIに注目。今週、カナダ中銀(BOC)は6会合連続で政策金利を5.00%に据え置いたうえ、利下げには「物価安定への進展が持続的であるとの確信が必要だ」と示唆した。BOCは経済成長見通しについて、今年は1月時点の0.8%から1.5%に上方修正した一方で、25年は2.4%から2.2%に下方修正した。また、インフレ率は第2四半期に3%前後にとどまるとし、25年末にかけて2%に低下するとの見通しを示した。経済成長の加速が見込まれているなかでも、CPIは今年に入って1月が前年比2.9%、2月が2.8%と低下しているが、中銀は「これが一時的な落ち込みではないとの確信を持ちたい」としている。市場は7月会合での利下げを見込んでいるが、マックレムBOC総裁は6月利下げ開始の可能性を否定していない。3月CPIの重要性が高まっている。目先はドル高の流れが続いており、対ドルでは上値の重い動きが見込まれる。
4月8日週の回顧
今週は予想を上回る3月米CPIを背景にドル買いが優勢となった。米CPIの結果を受けて今年の米利下げ開始が後ずれし、利下げ幅も縮小するとの見方が強まり、ポンドドルは1.25ドル前半、ドル/加ドルは1.37加ドル前半までドル高が進んだ。BOCの会合はほぼ無風で通過し、加ドルの反応は限られた。対円では、1990年6月以来の153円台をつけたドル円の動きが支えとなるも、対ドルでの下落が重しとなり、ポンド円は193円手前で上値が抑えられ、加ドル円は112円近辺で伸び悩んだ。(了)