東京為替見通し=ドル円、介入に絡んだ神経質な動きが続くか

 昨日のニューヨーク外国為替市場でドル円は大幅に反落。米連邦公開市場委員会(FOMC)やパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の会見内容が市場予想よりタカ派ではなかったとの見方が強く、全般ドルが重い動きとなるも、ドル円は157.01円近辺まで値を下げた後、157円半ばまで持ち直し下値の堅さを示したが、日本当局の円買い介入観測が浮上するなか一時153.04円まで急落した。急速な円高を受けてユーロ円は164.09円まで大幅安となり、ユーロドルは米金融政策イベントを受けた米金利の低下に伴ったドル売りを支えに1.0733ドルまで上昇した。

 昨日のFOMCでは金利の据え置きが決定され、声明の内容はおおむね予想通りとなった。パウエルFRB議長が次の動きが利上げとなる可能性は低いと述べたことで、FRBがタカ派姿勢に転じるとの懸念が和らぎ全般ドル売りに傾いたものの、米長期金利の低下も一時的にとどまり、ドル高地合いに大きな変化はない。依然として日米金利差は縮小しないとの見方からドル高・円安の流れは続きそうで、日本当局の円買い介入も絡み、ドル円は神経質な動きが予想される。

 これからも米利下げ時期を探る相場展開が続くと想定されるが、FOMCを通過し市場の視線は明日の米雇用統計に向けられている。4月の非農業部門雇用者数は大幅増となった3月を下回る予想も全体としては改めて雇用情勢の強さが示される可能性が高い。昨日に発表された、雇用統計の前哨戦とされる4月ADP全米雇用報告は19.2万人増と予想を上回る結果となった。足もとでは世界で米経済の強さが目立っており、ドルの支えとなっている。米経済の高成長は生産性の高い伸びが大きな要因とされており、今後も生産性によるGDPの押上げ効果が続くかどうかが注目される。

 市場では日本当局の円買い介入はドル円に「絶好の買い場」を提供するだけとの見方が強い。ドル円はNY引け後に155円台を回復している。一連の好循環を背景に、秋に本格的な利上げに踏み切るというのが日本政府・日銀のシナリオだったが、先週末に日銀の金融政策イベントを通過し円売りが加速している。景気後退のリスクを取って追加利上げに踏み切るか、それとも効果が薄いとされる介入程度で済まし円の一段安を眺めるしかないのか、日銀は早くも難しい選択を迫られる可能性がある。

(金)
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