週間為替展望(ドル/ユーロ)-感謝祭で市場の流動性乏しい
◆ドル円、ロシア・ウクライナを巡る地政学リスクを警戒
◆ドル円、週後半の感謝祭を控え市場の流動性が低下
◆ユーロドル、ECB利下げ観測で下落リスク高まる
予想レンジ
ドル円 153.00-157.00円
ユーロドル 1.0000-1.0600ドル
11月25日週の展望
ドル円は、米大統領選でのトランプ前大統領および共和党の圧勝により、財政拡張政策が順調に進むとの思惑から米金利の先高観は根強く、引き続き下値は堅いだろう。ただ、ロシア・ウクライナ情勢を巡る地政学リスクが高まっており、情勢次第では不安定な動きにもなりそうだ。
今週はウクライナ軍がロシア西部を攻撃した後、プーチン露大統領が核兵器の使用条件を示した核ドクトリンの改定を承認したことで核戦争への思惑が広がった。ラブロフ露外相が否定したことからいったんは落ち着いたものの、「ロシア軍が大陸間弾道ミサイル(ICBM)を発射した」との報道で再び緊張感が高まっている。ロシアのICBMは射程が最長1万km以上で核弾頭も搭載可能であり、今回1000km離れた地点を攻撃するのにICBMを使う必要はなく、市場では「核攻撃の為の実験なのでは」との思惑が浮上したが、露大統領は事実上否定している。
通常、地政学リスクによる相場変動は短期的に終わることがほとんどであり、核攻撃などに進展しない限り影響は限定的となりそうだ。ただ、来週は28日に感謝祭を迎える為、週後半にかけて市場参加者が減少する点には注意が必要だ。感謝祭からクリスマスまで長期休暇を取る参加者も多く、年末にかけて市場の流動性が極端に悪化するため、突発的なニュースに対して通常以上に値が振れる可能性がある。ヘッドラインリスクには十分警戒したほうがよいだろう。
なお、来週は27日に10月耐久財受注や7-9月期国内総生産(GDP、改定値)、前週分の新規失業保険申請件数、10月PCEコアデフレータと指標が集中するため、米金利の動きにも注意したい。
ユーロドルは、欧州中央銀行(ECB)の利下げ観測の高まりから軟調な地合いが続きそうだ。足元で弱い経済指標が目立っているほか、トランプ次期米大統領が公約に掲げる一律10%の関税の欧州経済に与える悪影響が懸念されている。米国は欧州連合(EU)にとって最大の貿易相手国で、輸出品の約25%が米国向けであり、関税が実現されればGDPが大きく押し下げられる見通しだ。ECBメンバーからも12月利下げを支持する声が相次いでおり、追加緩和期待を背景とした売りが続く可能性が高い。また、チャートを見ても昨年10月3日安値1.0448ドルに接近しているが、割り込むと約2年間続いたレンジを下抜けるためテクニカル的な売りも出やすそうだ。
11月18日週の回顧
ドル円は方向感が定まらなかった。週明けは155.36円まで値を上げた後、ウクライナ情勢の悪化で153.29円まで下落。その後、ロシア外相が核戦争を否定すると一転して155.89円まで反発した。一方で、「ロシア側がICBM発射」と伝わると再び上値が重くなっている。
ユーロドルは1.06ドル台を回復する場面があったが、地政学リスクの高まりやECBの利下げ観測から上値は重かった。週後半には一時1.0462ドルと昨年10月4日以来の安値を更新した。(了)
◆ドル円、週後半の感謝祭を控え市場の流動性が低下
◆ユーロドル、ECB利下げ観測で下落リスク高まる
予想レンジ
ドル円 153.00-157.00円
ユーロドル 1.0000-1.0600ドル
11月25日週の展望
ドル円は、米大統領選でのトランプ前大統領および共和党の圧勝により、財政拡張政策が順調に進むとの思惑から米金利の先高観は根強く、引き続き下値は堅いだろう。ただ、ロシア・ウクライナ情勢を巡る地政学リスクが高まっており、情勢次第では不安定な動きにもなりそうだ。
今週はウクライナ軍がロシア西部を攻撃した後、プーチン露大統領が核兵器の使用条件を示した核ドクトリンの改定を承認したことで核戦争への思惑が広がった。ラブロフ露外相が否定したことからいったんは落ち着いたものの、「ロシア軍が大陸間弾道ミサイル(ICBM)を発射した」との報道で再び緊張感が高まっている。ロシアのICBMは射程が最長1万km以上で核弾頭も搭載可能であり、今回1000km離れた地点を攻撃するのにICBMを使う必要はなく、市場では「核攻撃の為の実験なのでは」との思惑が浮上したが、露大統領は事実上否定している。
通常、地政学リスクによる相場変動は短期的に終わることがほとんどであり、核攻撃などに進展しない限り影響は限定的となりそうだ。ただ、来週は28日に感謝祭を迎える為、週後半にかけて市場参加者が減少する点には注意が必要だ。感謝祭からクリスマスまで長期休暇を取る参加者も多く、年末にかけて市場の流動性が極端に悪化するため、突発的なニュースに対して通常以上に値が振れる可能性がある。ヘッドラインリスクには十分警戒したほうがよいだろう。
なお、来週は27日に10月耐久財受注や7-9月期国内総生産(GDP、改定値)、前週分の新規失業保険申請件数、10月PCEコアデフレータと指標が集中するため、米金利の動きにも注意したい。
ユーロドルは、欧州中央銀行(ECB)の利下げ観測の高まりから軟調な地合いが続きそうだ。足元で弱い経済指標が目立っているほか、トランプ次期米大統領が公約に掲げる一律10%の関税の欧州経済に与える悪影響が懸念されている。米国は欧州連合(EU)にとって最大の貿易相手国で、輸出品の約25%が米国向けであり、関税が実現されればGDPが大きく押し下げられる見通しだ。ECBメンバーからも12月利下げを支持する声が相次いでおり、追加緩和期待を背景とした売りが続く可能性が高い。また、チャートを見ても昨年10月3日安値1.0448ドルに接近しているが、割り込むと約2年間続いたレンジを下抜けるためテクニカル的な売りも出やすそうだ。
11月18日週の回顧
ドル円は方向感が定まらなかった。週明けは155.36円まで値を上げた後、ウクライナ情勢の悪化で153.29円まで下落。その後、ロシア外相が核戦争を否定すると一転して155.89円まで反発した。一方で、「ロシア側がICBM発射」と伝わると再び上値が重くなっている。
ユーロドルは1.06ドル台を回復する場面があったが、地政学リスクの高まりやECBの利下げ観測から上値は重かった。週後半には一時1.0462ドルと昨年10月4日以来の安値を更新した。(了)