週間為替展望(ドル/ユーロ)-ドル先高観、一段と高まる

◆ドル円、トランプトレードへの期待感から堅調
◆ドル円、介入に警戒も可能性は低いとの見方強い
◆ユーロドル、ドル独歩高で下値探る展開続く

予想レンジ
ドル円   154.50-162.00円
ユーロドル 1.0200-1.0600ドル

11月18日週の展望
 ドル円は、トランプトレード継続への期待感、米利下げ観測の後退から引き続き底堅く推移しそうだ。今週は来年から始動するトランプ政権の主要ポストに関する報道が伝わった。国務長官にルビオ上院議員、国家安全保障担当補佐官にウォルツ下院議員を抜擢するなど、いずれも対中強硬派のメンバーが選出されたことで外国為替市場では中国人民元売りが活発化。その他通貨にも波及したためドルが全面高となった。また、米大統領選と同時実施された連邦下院選で共和党が多数派を維持したことも判明し、赤をシンボルカラーとする共和党が大統領職と上下両院を独占する「トリプルレッド」を達成。トランプ政権が掲げる財政拡大政策が円滑に進むとの思惑がドル一段高を後押ししている。

 また、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が14日に「経済情勢は極めて良好であり、利下げを急ぐ必要があるというシグナルを発していない」と発言し、米利下げ観測が後退していることもドル買いを促しそうだ。CMEのフェドウォッチによると、12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での据え置き確率が41%前後まで上昇しており、利下げが見送られる可能性が出てきている。

 ここで警戒されるのが政府・日銀による介入だが、「直近の高値である昨年7月に付けた161.95円を超えるまでは可能性が低いのでは」との見方が強い。また、トランプ政権による米金利先高観、衆院選大敗による与党・自民党の弱体化など、ファンダメンタルズ面から見ても妥当な動きであるため、介入を実施することは難しい状況だろう。仮に介入したとしても、状況が変わったわけではないため、すぐに反発する可能性が高そうだ。

 ユーロドルは、ドル全面高となるなか下値を模索する展開が想定される。今週発表された11月独ZEW景況感指数にユーロ売りで反応するなど欧州景気指標に対して敏感になっているため、22日に発表される欧州各国の購買担当者景気指数(PMI)速報値には警戒したい。なお、独与野党は来年2月23日に総選挙を行うことで合意したが、現状では最大野党会派「キリスト教民主・社会同盟」が支持率で首位に立っていることから、政権交代の可能性が高まっている。

11月11日週の回顧
 ドル円は、米長期金利の上昇とともにドルが独歩高となった流れに沿った。多少の上下はありながらも週後半にかけて強い地合いを維持。FRB議長のタカ派発言が伝わると156円台半ばまで上げ幅を広げ、7月23日以来の高値を付けている。
ユーロドルはドル全面高となった影響から軟調に推移。目先のサポートとして意識されていた4月16日の年初来安値1.0601ドルを下抜けて、昨年10月以来の安値となる1.0497ドルまで下げ足を速めた。(了)
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