ロンドン為替見通し=ユーロ、対ドルでは欧米金利動向を見定め 対豪ドルの動きも注視

 本日のロンドン市場でユーロドルは、相場の動意に繋がりそうな材料が少ないなか、欧米金利の動向を見定めながらの値動となるか。明日以降は米国から4月インフレ指標「14日に卸売物価指数、15日が消費者物価指数(CPI)」が発表され、また明日14日にはパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長がアムステルダムにおいて、クノット・オランダ中銀総裁と討議が予定されている。金融市場とっての重要イベントを控えて、ユーロは対ドルでレンジ取引に終始する可能性もありそうだ。

 先週のユーロドルは、弱含む場面でも日足一目均衡表・転換線を割り込んだ1.07ドル前半では下げ渋った。もっとも、1.0790ドル台で下向きの200日移動平均線が重しとなるなど、狭いレンジのままで終えている。相場の反応は鈍かったものの、10日には欧州中央銀行(ECB)理事会議事要旨(4月11日分)が公表された。そこでは「ユーロ圏のインフレ率は来年に目標とする2%に低下する」との見通しが示され、「4月に緩和を開始すべき」という意見もあった。

 ECBは着実にハト派へ傾斜しており、6月利下げ見通しは高まっている。しかしながら、ユーロの売り圧力はそれほど強まっていないのが現状だ。次回会合の前、今月末に5月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値が発表されるため、足もとでインフレがどの程度まで減速しているかの確認をしておきたいということもあるのだろう。

 今後で注意したいのは、年内複数回の金利引き下げの織り込みが進み、利下げ自体がメイントピックとならなくなった場合か。低下基調の日足一目均衡表・雲の上抜けで上げ足を速める可能性が出てくるかもしれない。

 他ユーロクロスでは、東京午前に1.63豪ドル台で強含んだユーロ豪ドルに注目。明日発表される豪政府予算では今年のインフレ率について、「6月までに3.5%、12月までに2.75%に低下することが前提」と伝わった。豪準備銀行(RBA)見通しより下振れしたことが、豪ドルの重しとなっている。

想定レンジ上限
・ユーロドル、3日高値1.0811ドルを超えると日足一目均衡表・雲の上限1.0838ドル
・ユーロ豪ドル、日足一目均衡表・基準線1.6450豪ドル

想定レンジ下限
・ユーロドル、9日安値1.0724ドル
・ユーロ豪ドル、7日安値1.6219豪ドル


(小針)
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