東京為替見通し=日銀正副総裁の発言で6月日銀金融政策決定会合を見極める展開か
24日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、米ミシガン大学が発表した消費者の期待インフレ率(確報値)が下方修正され、米10年債利回りが低下したことで、一時156.82円まで弱含みに推移した。ユーロドルは1.0858ドルまで上昇。ユーロ円は170.50円まで上昇した。
本日の東京外国為替市場のドル円は、植田日銀総裁と内田日銀副総裁の発言から6月の日銀金融政策決定会合での追加金融引締めの有無を見極める展開が予想される。
4月26日の日銀金融政策決定会合の後の記者会見で、植田日銀総裁が、現時点ではいまの円安が基調的な物価上昇率に大きな影響を与えているわけではないとしたうえで、今後、円安が物価の動きに影響を及ぼすことになれば金融政策による対応を検討する考えを示したことが、円安容認と受け取られ、4月29日にドル円は160.17円まで上昇した。
本邦通貨当局は、4月29日に2回(159円付近と157円付近)、5月2日早朝に157円付近でドル売り・円買い介入を実施したと見なされている。
そして、5月7日に植田日銀総裁は岸田首相と会談を行った後、「経済・物価に潜在的に大きな影響を与え得るものなので、最近の円安については日本銀行の政策上十分注視をしていくことを確認した」と語った。
5月13日、日銀は国債の買い入れオペ(公開市場操作)で、償還までの期間が5年超10年以下の買い入れ額を前回より500億円減額して、約4250億円とした。
10年国債利回りは、5月22日に1%台に乗せ、24日はさらに1.005%と12年ぶりの高水準に達している。また、23日には、日本銀行の定例の国債買い入れオペで、応札額が買い入れ予定額に届かない「札割れ」が起きている。
市場では、6月13-14日の日銀金融政策決定会合で、円安対策のために、0.25%の追加利上げと現状6兆円程度の毎月の長期国債買入れの減額、撤廃への警戒感が高まっており、本日の植田日銀総裁と内田日銀副総裁の発言には要警戒となる。
先週末に開催されたG-7財務相・中央銀行総裁会議での為替に関する声明文では、為替市場の過度な変動は経済の安定に悪影響を与えるとした過去の合意が再確認され、「明確なコミュニケーションを通じて負の波及効果を抑えるよう努める」などとも記された。
イエレン米財務長官は、「介入は稀であるべきで、実施には事前の伝達(コミュニケーション)が適切だと考える。そして介入するのであれば、主に為替市場のボラティリティーへの対応であるべきだ。介入は決して日常的に用いられるような手段ではない」と述べた。
そして、神田財務官は、米国を含め各国当局と緊密に連絡を取り合っていると述べ、介入が稀であることが望ましいのは言うまでもないが、必要な場合には適切に対応すると強調した。過去3回の円買い介入は157円以上で実施されたと見なされており、G-7会議の後での本邦通貨当局の対応にも警戒しておきたい。
(山下)
本日の東京外国為替市場のドル円は、植田日銀総裁と内田日銀副総裁の発言から6月の日銀金融政策決定会合での追加金融引締めの有無を見極める展開が予想される。
4月26日の日銀金融政策決定会合の後の記者会見で、植田日銀総裁が、現時点ではいまの円安が基調的な物価上昇率に大きな影響を与えているわけではないとしたうえで、今後、円安が物価の動きに影響を及ぼすことになれば金融政策による対応を検討する考えを示したことが、円安容認と受け取られ、4月29日にドル円は160.17円まで上昇した。
本邦通貨当局は、4月29日に2回(159円付近と157円付近)、5月2日早朝に157円付近でドル売り・円買い介入を実施したと見なされている。
そして、5月7日に植田日銀総裁は岸田首相と会談を行った後、「経済・物価に潜在的に大きな影響を与え得るものなので、最近の円安については日本銀行の政策上十分注視をしていくことを確認した」と語った。
5月13日、日銀は国債の買い入れオペ(公開市場操作)で、償還までの期間が5年超10年以下の買い入れ額を前回より500億円減額して、約4250億円とした。
10年国債利回りは、5月22日に1%台に乗せ、24日はさらに1.005%と12年ぶりの高水準に達している。また、23日には、日本銀行の定例の国債買い入れオペで、応札額が買い入れ予定額に届かない「札割れ」が起きている。
市場では、6月13-14日の日銀金融政策決定会合で、円安対策のために、0.25%の追加利上げと現状6兆円程度の毎月の長期国債買入れの減額、撤廃への警戒感が高まっており、本日の植田日銀総裁と内田日銀副総裁の発言には要警戒となる。
先週末に開催されたG-7財務相・中央銀行総裁会議での為替に関する声明文では、為替市場の過度な変動は経済の安定に悪影響を与えるとした過去の合意が再確認され、「明確なコミュニケーションを通じて負の波及効果を抑えるよう努める」などとも記された。
イエレン米財務長官は、「介入は稀であるべきで、実施には事前の伝達(コミュニケーション)が適切だと考える。そして介入するのであれば、主に為替市場のボラティリティーへの対応であるべきだ。介入は決して日常的に用いられるような手段ではない」と述べた。
そして、神田財務官は、米国を含め各国当局と緊密に連絡を取り合っていると述べ、介入が稀であることが望ましいのは言うまでもないが、必要な場合には適切に対応すると強調した。過去3回の円買い介入は157円以上で実施されたと見なされており、G-7会議の後での本邦通貨当局の対応にも警戒しておきたい。
(山下)