NY為替見通し=ドル円は堅調予想、クロス円はボラタイルな動きに要警戒

 本日のNY市場でのドル円は、堅調地合いを維持できるだろうが大きな値動きを期待するのは難しいか。
 
 本日のアジア時間で、中村日銀審議委員が「当面は現状の政策維持が妥当」と発言したほか、植田日銀総裁が「現実のインフレ予想は、まだ2%に達するには少し距離がある」などと、相次いでハト派的な見解を示した。本邦長期金利も先月後半から続いていた上昇の勢いが一服となり、先月中旬の水準まで戻している。この流れに敢えて逆らうほどの円買い材料が、米国時間に出てくるのは考えにくいことで、ドル円は堅調地合いを維持できるのではないかと予想する。

 もっとも、今週に入りドル円はNY午前に発表される経済指標では上下するものの、NY午後に入ると値動きが極端に限られてきている。3日は156円前半、4日は154円後半、そして昨日は再び156円前半で、それぞれNY午後は数十銭程度のレンジ取引に終始した。本日もNY午前に発表される米雇用指標(前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数、1-3月期米非農業部門労働生産性・改定値)や、欧州中央銀行(ECB)理事会の結果発表や、ラガルドECB総裁の会見等で円相場もそれなりには動意づくだろう。しかし、今週の最大の注目は明日発表される5月の米雇用統計次第となることで、本日の欧州引け後も値動きは限られてきそうだ。

 ドル円は限られたレンジ取引となりそうだが、クロス円は神経質な動きが予想される。ECB理事会や声明文などでユーロ円が動意づくことはもちろんだが、南アでは連立政権に向けて本日はアフリカ民族会議(ANC)の全国執行委員会(NEC)会議が予定されていることでランド円も動意づきそうだ。また、総選挙後荒い値動きを繰り返しているメキシコペソ円なども、引き続き目が離せない動きになるだろう。


・想定レンジ上限
 ドル円は、4日高値156.49円。その上は3日に発表された5月米ISM製造業景況指数の発表前水準156.80円近辺。
 ユーロ円は、3日高値170.89円。
 ランド円は、日足一目均衡表・転換線8.42円から4日高値8.45円が抵抗帯
 ペソ円は、日足一目均衡表・雲上限の9.03円。

・想定レンジ下限
 ドル円は、これまでの本日安値155.37円。
 ユーロ円は、これまでの本日安値169.22円。
 ランド円は、日足一目均衡表・雲下限8.13円。
 ペソ円は、200日移動平均線の8.73円。


(松井)
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