東京為替見通し=ドル円、動きづらい展開か 今夜は米5月雇用統計の発表
6日のニューヨーク外国為替市場でドル円は156.44円を頭に155.50円割れまで下落した。米10年債利回りが上昇幅を縮めたことが重しとなった。ユーロドルは欧州中央銀行(ECB)理事会で0.25%の利下げが決定されたものの、タカ派的な利下げと見なされて1.0902ドルまで買われた。ユーロ円は170.28円まで上昇した後169.31円付近まで下押しした。
本日の東京外国為替市場のドル円は、今夜発表される米5月雇用統計を控えて動きづらい展開が予想される。
ドル円の一目均衡表によるテクニカル分析では、攻防の分岐点である雲の上限155.75円付近での推移となっている。雲の上限は来週13日まで155.75円のままだが、日銀金融政策決定会合の結果が発表される14日には155.21円に低下していく。
14日の日銀決定会合の結果が、0.15-0.25%の追加利上げと国債買い入れ(※6兆円程度)の大幅な減額ならば、ドル安・円高要因となり、ドル円は雲の上限を抵抗に下落トレンドに入ることになる。しかし、昨日の中村日銀審議委員の発言「当面は現状の政策維持が妥当。今のタイミングで利上げは早い」が示唆したように、現状維持だった場合は、雲の上限を支持に上昇トレンドが再開することになるのかもしれない。
昨日の参院財政金融委員会で答弁した植田日銀総裁は、「2%のインフレ目標への距離感」への言及により現状維持を示唆した。一方で、「国債買い入れの減額が適当」との発言では金融政策正常化の可能性を言及していた。
米国の5月雇用統計の予想は、非農業部門雇用者数が前月比+18.5万人で4月の+17.5万人から増加幅が拡大、失業率は3.9%で前月から横ばいと見込まれている。
来週11-12日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、FF金利誘導目標5.25-50%の据え置きは既定路線。今回の雇用統計の強弱は、ドット・プロット(金利予測分布図)での利下げ開始時期や年内利下げの回数に影響すると思われる。
シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」での利下げ開始は、9月FOMCとされている。12月FOMCでも追加利下げが織り込まれ、年末のFF金利誘導目標は4.75-5.00%との見込みだ。
ところで米労働省労働統計局(BLS)によると、昨年の雇用者数の伸びは月間雇用統計に基づく平均の約25.1万人よりも、毎月平均で約6万人少なかった可能性があるとした。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)紙も昨年、起業・廃業モデルなどを理由に事業所調査が労働市場の実情を過大評価している可能性が高い、と報じており、今後の年次改定などには警戒しておきたい。
なお本日は、5月外貨準備高が発表される。4月29日と5月2日未明の本邦通貨当局のドル売り・円買い介入の原資が、2022年秋のように米国債の売却だったのか否かを確認することになる。
(山下)
本日の東京外国為替市場のドル円は、今夜発表される米5月雇用統計を控えて動きづらい展開が予想される。
ドル円の一目均衡表によるテクニカル分析では、攻防の分岐点である雲の上限155.75円付近での推移となっている。雲の上限は来週13日まで155.75円のままだが、日銀金融政策決定会合の結果が発表される14日には155.21円に低下していく。
14日の日銀決定会合の結果が、0.15-0.25%の追加利上げと国債買い入れ(※6兆円程度)の大幅な減額ならば、ドル安・円高要因となり、ドル円は雲の上限を抵抗に下落トレンドに入ることになる。しかし、昨日の中村日銀審議委員の発言「当面は現状の政策維持が妥当。今のタイミングで利上げは早い」が示唆したように、現状維持だった場合は、雲の上限を支持に上昇トレンドが再開することになるのかもしれない。
昨日の参院財政金融委員会で答弁した植田日銀総裁は、「2%のインフレ目標への距離感」への言及により現状維持を示唆した。一方で、「国債買い入れの減額が適当」との発言では金融政策正常化の可能性を言及していた。
米国の5月雇用統計の予想は、非農業部門雇用者数が前月比+18.5万人で4月の+17.5万人から増加幅が拡大、失業率は3.9%で前月から横ばいと見込まれている。
来週11-12日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、FF金利誘導目標5.25-50%の据え置きは既定路線。今回の雇用統計の強弱は、ドット・プロット(金利予測分布図)での利下げ開始時期や年内利下げの回数に影響すると思われる。
シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」での利下げ開始は、9月FOMCとされている。12月FOMCでも追加利下げが織り込まれ、年末のFF金利誘導目標は4.75-5.00%との見込みだ。
ところで米労働省労働統計局(BLS)によると、昨年の雇用者数の伸びは月間雇用統計に基づく平均の約25.1万人よりも、毎月平均で約6万人少なかった可能性があるとした。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)紙も昨年、起業・廃業モデルなどを理由に事業所調査が労働市場の実情を過大評価している可能性が高い、と報じており、今後の年次改定などには警戒しておきたい。
なお本日は、5月外貨準備高が発表される。4月29日と5月2日未明の本邦通貨当局のドル売り・円買い介入の原資が、2022年秋のように米国債の売却だったのか否かを確認することになる。
(山下)