NY為替見通し=円安基調継続、材料不足もPCEや月末前に円売り手当て進むか

 本日のNY市場でのドル円は、引き続き円安基調は変わらないだろう。欧州入り後には、本日を含め週末28日まで設定されていたオプションに絡んだドル売りなどをこなし、4月29日の為替介入時の水準を上回り、1986年以来となる160.39円まで上値を広げている。また、ドル円だけではなく豪ドル円は2007年以来、ポンド円は2008年以来の円安水準を更新するなど、円独歩安の動きになっている。今週に入りカナダ、豪州の消費者物価指数(CPI)が市場予想を上振れるなど、本邦よりも他国の方が、インフレ率が高止まっていることが確認されている。仮に7月の日銀政策決定会合で長期国債の買い入れの減額や短期金利を多少引き上げたとしても、さほど円安を止めるほどにはならない可能性もあり、ファンダメンタルズを見ても円安地合いが続きそうだ。

 また、市場の一部では「シーリング」などの言葉を使い為替介入を警戒する声があるが、本邦為替当局者が一定の水準でドル売り・円買いを行うことは難しいだろう。これまでも鈴木財務相、神田財務官などは「為替の具体的な水準についてはコメントしない」と発言しているだけではなく、「特定の水準を念頭に判断していない」とも述べている。また、イエレン米財務長官も「為替介入は過剰な動きへの対処であるべき」とくぎを刺している。4月29日は前営業日には154円台を一時記録した後の、160円までの円安だったのと比較し、ここ最近は157-159円台を中心に動いていたことで、160円までの円安は決して過剰な動きでもないことで、早急に円買い介入を期待するのは難しいか。

 また、リスク要因としては月末を控えていることにも注意。月末28日には市場が最も注目している経済指標の一つ、5月の米PCEデフレーターが発表される。同指標が市場予想を上振れた場合はドル買いに拍車がかかることは避けようもないことで、買い遅れている市場参加者が事前にドル買いを手当てする可能性もある。また、この数カ月は月末のロンドン・フィキシングでは円売りが優勢となっていたこともあり、この流れの前に円売りを行う可能性もあるだろう。

・想定レンジ上限
 ドル円は、節目の161.00円。その上は1986年12月25日高値161.45円。

・想定レンジ下限
 ドル円は、本日のこれまでの安値159.62円。その下は25日安値159.19円。


(松井)
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