NY為替見通し=ドル円、パウエルFRB議長発言と5月米雇用動態調査に要注目か

 本日のNY為替市場のドル円は、ECB主催の国際金融会議「ECBフォーラム」でのパウエルFRB議長の発言や5月米雇用動態調査(JOLTS)求人件数を見極めつつ、引き続き本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入の可能性には警戒しておきたい。

 米連邦準備理事会(FRB)がインフレ指標として注視している6月PCEデフレーターは、前年比+2.6%まで低下していた。そして、米ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は、「金融当局が2%のインフレ目標を持続的に達成する道を進んでいると私は確信している」と述べている。

 昨日発表された6月米ISM製造業景況指数は3カ月連続して50を下回って低下傾向にあり、「物価指数」や「雇用指数」も低下していた。しかし、米10年債利回りは、トランプ第47代米大統領誕生による財政出動やインフレ懸念から上昇している。
 パウエルFRB議長による利下げ時期や年内利下げ回数の言及に注目しておきたい。

 5月米雇用動態調査(JOLTS)求人件数は791.0万件と予想されており、3年ぶりの低水準となった4月の805.9万件からの減少が見込まれている。予想通りならば、5月の雇用統計で事業所調査の米非農業部門雇用者数(前月比+27.2万人)と家計調査の就労者数(▲40.8万人)のどちらが労働市場に関する正確なシグナルなのかが判明することになる。

 また、ドル円は、1990年4月の高値を上抜けて、1986年12月以来の高値圏に突入しており、テクニカル分析では、新たなレンジに移行したと見なせる。
 上値の目処は、1978年10月のカータードル防衛の時の安値175.50円や斜行三角形上抜けの目標値192.90円処となる。

 3年目の任期満了で退任が発表された神田財務官は、7月末まで職務を遂行することになっており、円安に深刻な懸念を表明していたことから、ドル売り・円買い介入に踏み切る可能性には引き続き警戒しておきたい。

・想定レンジ上限
 ドル円の上値目処(めど)は、162.37(ピポット・レジスタンス2)

・想定レンジ下限
 ドル円の下値目処(めど)は、160.63(7/1安値)


(山下)
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