NYマーケットダイジェスト・31日 株高・金利低下・円高・ドル安

(31日終値)
ドル・円相場:1ドル=149.98円(前営業日比▲2.79円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=162.36円(▲2.89円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.0826ドル(△0.0011ドル)
ダウ工業株30種平均:40842.79ドル(△99.46ドル)
ナスダック総合株価指数:17599.40(△451.98)
10年物米国債利回り:4.03%(▲0.11%)
WTI原油先物9月限:1バレル=77.91ドル(△3.18ドル)
金先物12月限:1トロイオンス=2473.0ドル(△21.1ドル)

※△はプラス、▲はマイナスを表す。

(各市場の動き)
・ドル円は大幅に続落。植田和男日銀総裁の会見をきっかけに、日銀による金融政策の正常化が今後さらに進むとの観測が高まると全般円買いが先行。7月ADP全米雇用報告や4-6月期米雇用コスト指数が予想より弱い内容だったことが分かるとドル売りも優勢となり、23時過ぎに一時149.64円まで値を下げた。そのあとは米連邦公開市場委員会(FOMC)を控えたポジション調整目的の買いなどが入り、FOMC結果公表直後には151.26円付近まで下げ渋る場面もあったが、戻りは非常に鈍かった。
 FOMCはこの日、市場予想通り政策金利を5.25-5.50%で据え置くことを決めたと発表。声明では「インフレ目標に向けてのさらなる進展がみられた」「経済の見通しは不確実で、委員会は二つの責務の両サイドに対するリスクを大いに注視している」との見解が示された。また、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は会見で「FOMCは利下げに近づいているという感触を得ている」「9月FOMCで利下げが選択肢になる可能性ある」と述べ、9月利下げの可能性に言及した。市場では米金利の低下とドル売りが優勢となり、4時30分過ぎに一時149.61円と3月19日以来約4カ月ぶりの安値を付けた。
 なお、米10年債利回りは4.0296%前後と2月2日以来の低水準を記録した。

・ユーロドルは3日ぶりに小反発。欧州時間発表の7月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値が予想を上回ったことが分かるとユーロ買い・ドル売りが先行。予想を下回る米経済指標を受けて全般ドル売りが強まると一時1.0849ドルと日通し高値を付けた。
 ただ、そのあとは米重要イベントを控えたポジション調整目的のユーロ売り・ドル買いが進行。FOMC直後には一時1.0802ドルと日通し安値を更新した。
 もっとも、パウエルFRB議長の会見を受けて米金利の低下とドル売りが優勢になると、1.0833ドル付近まで持ち直している。

・ユーロ円は大幅に4日続落。ドル円とユーロドルの値動きの影響を同時に受けたため、しばらくは方向感が出なかったものの、引けにかけて弱含んだ。日銀の追加利上げ観測を背景に全般円買いが入りやすい地合いとなる中、4時30分過ぎに一時162.02円と3月18日以来約4カ月ぶりの安値を更新した。

・米国株式市場でダウ工業株30種平均は続伸。パウエルFRB議長がFOMC後の会見で9月利下げの可能性について言及すると主力株に買いが集まり、指数は一時450ドル超上昇した。ただ、18日に付けた取引時間中の最高値41376.00ドルに接近した場面では利食い売りなどが出たため、引けにかけては伸び悩んだ。
 ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は大幅に反発。米長期金利が低下したことで、高PER(株価収益率)のハイテク株には買いが入った。

・米国債券相場で長期ゾーンは5日続伸。7月ADP全米雇用報告や4-6月期米雇用コスト指数が予想より弱い内容だったことが分かると買いが先行。パウエルFRB議長がFOMC後の会見で9月利下げの可能性について言及するとさらに買いが強まった。利回りは一時4.0296%前後と2月2日以来の低水準を付けた。

・原油先物相場は4日ぶりに大幅反発。イスラエル軍による攻撃によってイスラム組織ハマスの指導者が殺害されたことを受け、中東情勢の緊迫化による供給懸念が意識された。また、パウエルFRB議長の発言などを手掛かりに外国為替市場ではドル安が進み、ドル建てで取引される原油相場の割安感も買い材料視された。

・金先物相場は続伸。イスラム組織ハマスの指導者であるハニヤ氏がイスラエル軍による攻撃により死亡したと明らかになり、中東情勢の緊迫化は避けられないとの思惑が広がった。安全資産としての金需要が高まったほか、米長期金利の低下によって金利を生まない資産である金に資金が向かった。

(中村)
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