NYマーケットダイジェスト・30日 日銀追加利上げ報道で円全面高

(30日終値)
ドル・円相場:1ドル=152.77円(前営業日比▲1.25円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=165.25円(▲1.42円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.0815ドル(▲0.0006ドル)
ダウ工業株30種平均:40743.33ドル(△203.40ドル)
ナスダック総合株価指数:17147.42(▲222.78)
10年物米国債利回り:4.14%(▲0.03%)
WTI原油先物9月限:1バレル=74.73ドル(▲1.08ドル)
金先物12月限:1トロイオンス=2451.9ドル(△26.4ドル)

※△はプラス、▲はマイナスを表す。

(主な米経済指標)
       <発表値>   <前回発表値>
5月米住宅価格指数
(前月比)   0.0%      0.3%・改
5月米ケース・シラー住宅価格指数
(前年比)   6.8%      7.3%・改
6月米雇用動態調査(JOLTS)求人件数
       818.4万件   823.0万件・改
7月米消費者信頼感指数
         100.3     97.8・改

※改は改定値、▲はマイナスを表す。

(各市場の動き)
・ドル円は反落。NHKが「日銀は明日まで開く金融政策決定会合で現在0-0.1%の政策金利を0.25%程度に引き上げる案などを議論」と報じたほか、日経新聞が「日銀は追加利上げを検討、国債買い入れを減額する量的引き締めの具体策も決める」と伝えると、日銀の金融政策正常化への思惑が高まり円全面高の展開となった。前日の安値153.02円を下抜けて一時152.66円まで値を下げた。
 31日就任する三村淳財務官が足もとの円安について「輸入物価を押し上げて国民生活に影響を与えるなどデメリットの方が大きい」との認識を示したことも円買いを促したようだ。なお、三村氏は為替介入に関しては「国際合意の枠組みの中でやっていく」と述べ、為替水準や見通しについては「コメントしない」と話した。

・ユーロドルは小幅ながら続落。欧州市場では一時1.0836ドルまで上昇する場面もあったが、6月米雇用動態調査(JOLTS)求人件数や7月米消費者信頼感指数が予想を上回ると、米10年債利回りが上昇に転じたため一転下落した。24時前に一時1.0798ドルと4日以来の安値を付けた。
 ただ、売り一巡後は下げ渋る展開に。「イスラエルはヒズボラに報復。レバノンの首都ベイルートで同国のシーア派勢力ヒズボラの司令官を狙った攻撃を仕掛けた」との報道が伝わると、米10年債利回りが4.12%台まで低下。ユーロ買い・ドル売りがじわりと強まり、1.0818ドル付近まで下げ幅を縮めた。

・ユーロ円は3日続落。取引終了間際に一時165.11円と日通し安値を更新した。日銀金融政策決定会合の結果公表を明日に控えて、各メディアから追加利上げを巡る観測報道が相次いだ。市場では日銀の政策正常化に関する織り込みが進み、円全面高の展開となった。米ハイテク株の下落や日経平均先物の下落を背景に、リスク回避目的の円買いも進んだ。
 なお、ナイト・セッションの日経平均先物は大証終値比600円安の3万7890円まで大幅に値を下げた。

・米国株式市場でダウ工業株30種平均は反発。決算内容が嫌気されたプロクター・アンド・ギャンブル(P&G)やメルクが下落し相場の重しになるとダウ平均は下げに転じる場面もあったが、米利下げ観測を背景に買いが入ると持ち直した。
 一方、ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は3日ぶりに反落。エヌビディアやテスラが下落した。

・米国債券相場で長期ゾーンは4日続伸。6月米JOLTS求人件数や7月米消費者信頼感指数が予想を上回ると売りが先行したものの、「イスラエルはヒズボラに報復した」と伝わると中東情勢が一段と悪化するとの見方から相対的に安全な資産とされる米国債に買いが入った。

・原油先物相場は3日続落。中国経済の低迷と同国のエネルギー需要鈍化への警戒感が強まり、時間外取引から売りが先行。6月上旬以来の安値となる74.59ドルまで下押す場面も見られた。取引時間中には「イスラエルはベイルート近郊のヒズボラ評議会付近に向けて報復攻撃を実施した」との報道が伝わったが、中東の緊張激化を手掛かりした動きは限られた。

・金先物相場は上昇。明日に米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果公表を控えるなか、米長期金利が連日で低下していることが手掛かりとなり、金利を生まない資産である金需要が高まった。

(中村)
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