ロンドン為替見通し=英・金融政策イベントに注目、中東・地政学リスクにも警戒

 本日のロンドン為替市場のメインは、日本時間20時からの英中銀(BOE)の金融政策イベント。政策金利はアナリスト予想では、現行5.25%据え置きと5.00%に引き下げとで拮抗している。

 先々週に発表された6月英消費者物価指数(CPI)では前年比総合が2%と英中銀ターゲットを維持したものの、予想からは上振れた。サービス価格のインフレが高止まっていることもあり、この時点では早期利下げ観測が大きく後退した。しかしながら、その翌日の英雇用データがさえなく、週平均賃金の減速も確認されたため、再び緩和期待が浮上した。

 そういったなか、9名の英・金融政策委員会(MPC)委員による投票も僅差となるかもしれない。前回は7対2で据え置きだったが、議事要旨では、複数の委員にとって利下げの見送りは「微妙なバランス」だったことが明らかにされた。利下げの場合、ポンドの最初の反応は売りだろう。ただし据え置きでも、MPC投票差や議事要旨次第で次回会合からの緩和サイクルの開始が確実視されようだと下値模索の展開となってもおかしくない。

 英米の金融政策が連動しているわけではないものの、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が昨日の定例会見で9月利下げに言及したことも、ベイリーBOE総裁がハト派な見解を述べやすくしたかもしれない。政策金利発表後のベイリー総裁の会見は、20時30分から予定されている。

 ほか、中東を巡る地政学リスクの高まりにも要警戒。イランの首都テヘランで昨日、イスラム組織ハマスの最高指導者が暗殺された。イスラエルは公式に認めていないが、同国軍の実行と見られている。これを受け、イラン最高指導者が報復攻撃を命じたと一部メディアが報じた。

 報復攻撃の度合いにもよるが、イスラエルとイランが敵対姿勢を強めれば、周辺地域への悪影響は避けられないだろう。また現在、仏パリでオリンピックが開かれている。イスラエル代表の安全が脅かされ、また無関係な人々も巻き込まれる可能性も否定できない。危険度が増せば、欧州市場に対する投資家のセンチメントの弱さに繋がってしまいそうだ。

想定レンジ上限
・ポンドドル、7月19日高値1.2968ドル
・ユーロドル、7月22日高値1.0903ドル

想定レンジ下限
・ユーロドル、日足一目均衡表・雲の下限1.0752ドル
・ポンドドル、日足一目均衡表・雲の上限1.2707ドル

(小針)
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