週間為替展望(ポンド/加ドル)-ポンド、追加利下げを見極め

◆日本株・円相場、不安定な動きに警戒
◆ポンド、指標で追加利下げを見極め
◆加ドル、追加利下げ観測が重しも円とドルの動きに左右

予想レンジ
ポンド円 183.00-191.00円
加ドル円 104.00-109.50円

8月12日週の展望
 来週も神経質な動きが続く円相場の動きが注目される。7月末の日銀金融政策決定会合後、慎重派とされた植田日銀総裁のタカ派寄り発言が円高・日本株安の大きな一因となったが、今週はタカ派とされた内田日銀副総裁のハト派発言が市場を驚かせた。日銀の要人らが久々に存在感を示しているが、不本意にもその発言は金融市場の不安定化につながっている。米景気減速懸念や中東リスクなども加わり、金融市場の不安定な動き、円相場の値幅を伴った動きの継続に注意。

 来週は英国内で、7月の雇用・物価データや同月小売売上高、4-6月期GDP・速報値など複数の注目指標の発表が予定されている。イングランド銀行(英中銀、BOE)は8月会合で利下げに踏み切ったが、5対4の僅差での決定であり、利下げを支持した一部委員の判断も「微妙なバランスだった」と伝わっている。またベイリーBOE総裁は、「今後は慎重に動く」とし、「急速な利下げを確約しているわけではない」と強調した。利下げ決定は景気回復を目指すスターマー新政権に追い風となるも、インフレリスクは根強く残されている。市場では次回9月会合での追加利下げと据え置き予想が拮抗しており、今週の経済指標の結果は金利見通しにつながる可能性が高い。

 なお、今週発表された7月サービス部門購買担当者景気指数(PMI)改定値は52.5と速報値からやや上方修正され、7月建設業PMIは55.3と2022年5月以来の高水準となった。7月初旬の英総選挙での政権交代を受けて景況感は改善している。

 加ドルは、国内で加ドルの動意につながりそうな経済指標や注目イベントは乏しく、神経質な動きが続いている円相場や、米7月CPIを受けたドルの動きなどに左右されそうだ。

 カナダ中銀(BOC)は主要国のなかで先頭を切って2会合連続で利下げを実施しているが、次回9月会合での追加利下げ観測の高まりが引き続き加ドルの重しとなるか。今週公表の7月会合議事要旨では、BOCが「来年と26年の個人消費の大幅下振れへの懸念と、物価上昇率が想定通り減速し続ければさらなる利下げが適切」との考えを明確にし、利下げによる消費のてこ入れを期待していることが明らかになった。市場は9月会合での追加利下げを完全に織り込み、年内にあと2回の利下げを想定している。

8月5日週の回顧
 今週も為替相場は円の動きが目立つ展開となった。週明けから連日で日経平均が過去最大の下げと上げ幅を記録し、円相場は乱高下。円はリスク回避の買いが先行したが、株の持ち直しと内田日銀副総裁のハト派発言を手がかりに円が売り戻された。ポンド円は180円前半まで下押し後188円台まで切り返し。加ドル円は101円後半を安値に107円半ばまで反発した。
 対ドルでは動意は限られた。ポンドドルは1.26ドル後半に押し戻された後1.27ドル半ばまで買戻された。ドル/加ドルは一時1.39加ドル半ばまで加ドル安が進んだが1.37加ドル前半まで下押しした。(了)
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