週間為替展望(ポンド/加ドル)-ポンド、雇用や景気指標に注目
◆ポンド、雇用や景気指標に注目
◆ポンド、賃金インフレ次第で英当局内のパワーバランスに変化も
◆加ドル、BOCの追加利下げ余地広がる
予想レンジ
ポンド円 185.50-192.50円
加ドル円 104.50-108.50円
9月9日週の展望
ポンドは10日発表の英雇用データや翌11日の月次国内総生産(GDP)などでイングランド銀行(英中銀、BOE)の利下げペースを探りながらの値動きとなりそうだ。
前回発表された4-6月英失業率(ILO方式)は、4.5%までの悪化見込みのところ、結果は4.2%に改善。労働市場の底堅さが示された。一方、賃金上昇率(除賞与)は予想通り5.4%と3-5月分から減速し、2022年8月以来の低い伸び率を記録した。先月1日に英中銀が約4年ぶりの政策金利引き下げを決定した際、ベイリー総裁は緩やかになりつつある賃金上昇ペースを前向きに評価した。総裁の期待通り、賃金インフレ鈍化が利下げ決定後も確認されたことになる。
しかしながら、先日、民間会社が求人広告データをもとに割り出した英賃金の伸びは、これまで続いていた鈍化基調から反転して再加速していることが明らかになった。これらのデータが公式統計にすぐに反映される訳ではないだろうが、多数の事業者が引き続き、労働力を確保するために大幅な報酬アップ提示を余儀なくされている。今後、賃金インフレ持続に対する懸念が高まるとなれば、前回の英金融政策委員会(MPC)でやや優勢だった利下げ支持派と据え置き主張派のパワーバランスがあっさり逆転してしまうかもしれない。
その他、7月GDP(前月比)は前回横ばいから持ち直せるか、また、鉱工業生産(前年比)は前回マイナスからの回復度合いが注目される。
加ドルは、週前半は8月雇用統計の結果を受けた流れが続きそうだ。ただし、カナダ中銀(BOC)による追加利下げ余地が大きく広がるなか、加ドルを積極的に買い進む地合いにはなり難そうだ。BOCは4日、市場予想通り政策金利を4.50%から4.25%に引き下げた。3会合連続の利下げを決定した声明では、「引き続き慎重に政策運営を進める」考えを示している。ただ、マックレムBOC総裁は会見で「経済が減速し過ぎてインフレ率が下がり過ぎるリスクに一層警戒する必要がある」と言及。今後必要に応じて大幅な金融緩和策を講じる可能性があるとの見解を示した。短期金融市場では、BOCの今年残り2会合(10月と12月)はもとより、来年前半の2会合(1月と3月)まで0.25%利下げ継続が織り込まれつつある。
9月2日週の回顧
ポンド、加ドルともに対円では買い先行。月初に絡んだ円売りフローも後押しに、ポンド円は8月1日の高値を超えて193円半ば、加ドル円も109円台乗せまで上昇した。もっとも、その後は経済財政諮問会議で植田日銀総裁が金融緩和の度合いを調整する方針を改めて示すと、外貨売り円買い戻しが優勢に。弱い米経済指標を受けてリスク回避ムードが広まったことも重しとなると、それぞれ188円手前、105円後半まで売り込まれた。ポンドドルは、米金利低下を支えに1.30ドル後半から1.31ドル後半まで上昇し。ドル加ドルは1.35加ドル台を中心に上下。米・加金利ともに先安観が強まり、綱引き状態だった。(了)
◆ポンド、賃金インフレ次第で英当局内のパワーバランスに変化も
◆加ドル、BOCの追加利下げ余地広がる
予想レンジ
ポンド円 185.50-192.50円
加ドル円 104.50-108.50円
9月9日週の展望
ポンドは10日発表の英雇用データや翌11日の月次国内総生産(GDP)などでイングランド銀行(英中銀、BOE)の利下げペースを探りながらの値動きとなりそうだ。
前回発表された4-6月英失業率(ILO方式)は、4.5%までの悪化見込みのところ、結果は4.2%に改善。労働市場の底堅さが示された。一方、賃金上昇率(除賞与)は予想通り5.4%と3-5月分から減速し、2022年8月以来の低い伸び率を記録した。先月1日に英中銀が約4年ぶりの政策金利引き下げを決定した際、ベイリー総裁は緩やかになりつつある賃金上昇ペースを前向きに評価した。総裁の期待通り、賃金インフレ鈍化が利下げ決定後も確認されたことになる。
しかしながら、先日、民間会社が求人広告データをもとに割り出した英賃金の伸びは、これまで続いていた鈍化基調から反転して再加速していることが明らかになった。これらのデータが公式統計にすぐに反映される訳ではないだろうが、多数の事業者が引き続き、労働力を確保するために大幅な報酬アップ提示を余儀なくされている。今後、賃金インフレ持続に対する懸念が高まるとなれば、前回の英金融政策委員会(MPC)でやや優勢だった利下げ支持派と据え置き主張派のパワーバランスがあっさり逆転してしまうかもしれない。
その他、7月GDP(前月比)は前回横ばいから持ち直せるか、また、鉱工業生産(前年比)は前回マイナスからの回復度合いが注目される。
加ドルは、週前半は8月雇用統計の結果を受けた流れが続きそうだ。ただし、カナダ中銀(BOC)による追加利下げ余地が大きく広がるなか、加ドルを積極的に買い進む地合いにはなり難そうだ。BOCは4日、市場予想通り政策金利を4.50%から4.25%に引き下げた。3会合連続の利下げを決定した声明では、「引き続き慎重に政策運営を進める」考えを示している。ただ、マックレムBOC総裁は会見で「経済が減速し過ぎてインフレ率が下がり過ぎるリスクに一層警戒する必要がある」と言及。今後必要に応じて大幅な金融緩和策を講じる可能性があるとの見解を示した。短期金融市場では、BOCの今年残り2会合(10月と12月)はもとより、来年前半の2会合(1月と3月)まで0.25%利下げ継続が織り込まれつつある。
9月2日週の回顧
ポンド、加ドルともに対円では買い先行。月初に絡んだ円売りフローも後押しに、ポンド円は8月1日の高値を超えて193円半ば、加ドル円も109円台乗せまで上昇した。もっとも、その後は経済財政諮問会議で植田日銀総裁が金融緩和の度合いを調整する方針を改めて示すと、外貨売り円買い戻しが優勢に。弱い米経済指標を受けてリスク回避ムードが広まったことも重しとなると、それぞれ188円手前、105円後半まで売り込まれた。ポンドドルは、米金利低下を支えに1.30ドル後半から1.31ドル後半まで上昇し。ドル加ドルは1.35加ドル台を中心に上下。米・加金利ともに先安観が強まり、綱引き状態だった。(了)