週間為替展望(ポンド/加ドル)-加ドル、7月CPIに注目

◆英雇用・物価データはまちまち、英中銀に明確なメッセージ示せず
◆ポンド方向感出にくい、追加利下げをめぐりデータを確認
◆加ドル、7月CPIに注目

予想レンジ
ポンド円 187.50-194.50円
加ドル円 106.00-110.50円

8月19日週の展望
 イングランド銀行(英中銀、BOE)の追加利下げをめぐる不確実性はなお高い。今週発表の英経済指標は、来月追加利下げに踏み切れるかどうか、当局を悩ませる内容となった。4-6月の賃金上昇率(除賞与)は予想通りの5.4%と3-5月から伸びが鈍化したが、4-6月失業率(ILO方式)は4.2%と予想外に低下し、労働市場の底堅さが示された。7月英消費者物価指数(CPI)は前年比2.2%と上昇率は今年初めて加速したものの、予想を下回った。コアCPIも3.3%と予想を下回り、BOEが物価圧力の手がかりとして注目するサービス価格の上昇率は5.2%と前月の5.7%から鈍化した。

 BOEは1日に約4年ぶりの利下げに踏み切ったが、金融政策委員会(MPC)メンバー9人のうち5人が利下げを支持、4人が据え置き主張と、僅差で決定された。今週発表の雇用・物価データは英中銀当局者による均衡を図った行動の難しさを裏付けている。BOEは年内に9・11・12月と後3回の政策会合を残しているが、市場参加者は年内に0.25%ずつ2回の追加利下げを見込んでいる。次回9月会合は19日に予定されているが、この会合で追加利下げに踏み切るかどうかはその前に発表予定の5-7月雇用データや8月CPIの結果に大きく左右されそうだ。金利見通しの不透明感から、ポンドは方向感が出にくい。来週は8月製造業・サービス部門購買担当者景気指数(PMI)速報値の発表が予定されている。

 加ドルは対ドルで値動きが乏しいが、円相場の乱高下もいったん落ち着き対円でも小動きを予想している。加ドル独自に買い材料が乏しいものの、ドルの重い動きが下支えとなっている。来週は加国内で7月消費者物価指数(CPI)や6月小売売上高などの発表が予定されている。7月CPIは前月比で今年初めてマイナスとなった6月から再びプラスに転じるも、前年比では伸びが一段と鈍化すると見込まれている。また、5月小売売上高は前月比-0.8%と昨年3月以来の下げ幅を記録したが、6月は上昇に転じると予想。

 9日に発表された7月雇用統計では、失業率は6.4%と前月からの悪化予想に反して横ばいとなるも、雇用者数は大幅増加予想に反して、パートタイムの減少が響き0.28万人減となった。また、カナダ中銀(BOC)が注視する正規雇用の平均時給の伸びは5.2%と6月から伸びが鈍化した。市場では、引き続きBOCが9月会合で追加利下げに踏み切ると見込まれている。

8月12日週の回顧
 英経済指標を受けてポンドドルは売買が交錯。方向感は出ず、1.28ドルを中心に小動きとなった。英中銀の追加利下げをめぐる不透明感が強く一方向に傾きにくい。ドル/加ドルは米経済指標の強弱で振れるも、1.37加ドル近辺で値動きは限定的。また、7月米小売売上高や新規失業保険申請件数の良好な結果を受けて米景気減速への懸念が和らいだことから、ドル円が大幅な上昇。つれるかたちで、ポンド円は192円近辺、加ドル円は108円後半まで切り返した。(了)
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