ロンドン為替見通し=複数のインフレデータを確かめ、ユーロポンドが動意付くか

 本日のロンドン為替市場では、序盤に発表される複数のインフレデータをまずは確かめたい。日本時間15時にドイツからは8月消費者物価指数(CPI)改定値、英国から5-7月の賃金データ、ノルウェーからも8月CPIが発表される。

 独CPIは改定値ではあるものの、速報値が想定以上に弱かったことから、今回は目を向けておきたい。速報値では前月比がプラス予想から-0.1%に、前年比も2.1%に減速見込みから約3年半ぶりの低水準となる1.9%まで下振れた。欧州最大の経済規模を誇るドイツのインフレ鈍化基調が確認されれば、欧州中央銀行(ECB)の利下げペースが速まるとの思惑が高まるかもしれない。

 英の平均賃金(除賞与)は前回4-6月分が5.4%と2022年8月以来の低い伸び率を記録した。今回も減速を見込む向きが多いようであり、先月1日に利下げを決定した英中銀(BOE)のベイリー総裁の期待通りに賃金上昇ペースの緩和が進みそうだ。ただ一部の民間調査によれば、足もとの賃金インフレは加速しているとのデータも出てきた。今のところ短期金融市場も、英中銀の利下げペースは速まらないとの見ているもよう。

 独・英の指標を受けて、このところ狭いレンジでの上下が続いているユーロポンドも動意付くかもしれない。独インフレ低下が顕著となり、英賃金インフレにサプライズなしとなれば、単純ではあるがユーロポンドにとっては売り圧力に繋がるか。

 8月ノルウェーCPIは前年比予想2.7%と前回から0.1ポイント下回る見込み。それよりも今回は大幅な減速が見込まれる前月比に注目だろう。市場は前回0.5%から-0.9%までの低下を予想している。ノルウェー中銀は先月、8会合連続となる政策金利の据え置きを決定した。声明でも引き締め的な政策継続に言及していたものの、本日の結果次第で次回会合に向けた新たな思惑が浮上するかもしれない。

想定レンジ上限
・ユーロドル、日足一目均衡表・転換線で9日高値でもある1.1091ドル
・ユーロポンド、21日移動平均線0.8472ポンド 

想定レンジ下限
・ユーロドル、8月15日安値1.0950ドル
・ユーロポンド、8月30日安値0.8400ポンド

(小針)
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