ニューヨーク外国為替市場概況・30日 ドル円、反発

 30日のニューヨーク外国為替市場でドル円は反発。終値は143.63円と前営業日NY終値(142.21円)と比べて1円42銭程度のドル高水準だった。アジア時間に一時141.65円まで売り込まれた反動でショートカバーが先行。9月米シカゴ購買部協会景気指数が予想を上回るとさらにドル買いが進み、一時143.37円まで値を上げた。月末・期末のロンドン16時(日本時間24時)のフィキシングに絡んだドル買いのフローも観測された。
 ただ、米連邦公開市場委員会(FOMC)で投票権を有するボスティック米アトランタ連銀総裁が「労働市場が引き続き弱ければ、0.50%の追加利下げの可能性も排除しない」と発言すると、142.95円付近まで伸び悩んだ。グールズビー米シカゴ連銀総裁も複数回の利下げの可能性を示唆した。
 もっとも、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が「国内総生産(GDP)の下振れリスクは国内総所得(GDI)の修正によるものだが、GDIは上方修正された」と発言すると再び強含む展開に。市場では「この発言はFRBがよりタカ派的になることを示唆している」との声が聞かれ、3時30分前には一時143.91円と日通し高値を更新した。さらにパウエル氏は「経済が予想通りに進展すれば、今年はさらに2回の利下げが行われ、合計0.50%となる」と話し、市場の一部で浮上している大幅利下げ観測を否定する見解を示した。

 ユーロドルは続落。終値は1.1135ドルと前営業日NY終値(1.1162ドル)と比べて0.0027ドル程度のユーロ安水準だった。ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁が「最近の物価指標はインフレ率が速やかに目標に戻るという我々の確信を強めるもの」「次回理事会でこれを考慮する」と述べ、追加利下げに含みを持たせると全般ユーロ売りが先行。予想を上回る米経済指標も相場の重しとなった。市場では「月末・期末のロンドン・フィキシングに絡んだユーロ売り・ドル買いのフローも観測された」との指摘もあった。
 その後、ボスティック氏のハト派的な発言を受けて下げ渋る場面もあったが、パウエル議長の発言が伝わると失速。3時30分前には一時1.1114ドルと日通し安値を更新している。
 なお、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」によると、11月6-7日のFOMCで0.50%の利下げを予想する確率は前週末の53.3%から35%程度まで低下した。

 ユーロ円は反発。終値は159.94円と前営業日NY終値(158.79円)と比べて1円15銭程度のユーロ高水準。ユーロドルの下落につれた売りが出ると159.23円付近まで値を下げたものの、ドル円の上昇に伴う買いが入ると一時160.13円と本日高値を付けた。

本日の参考レンジ
ドル円:141.65円 - 143.91円
ユーロドル:1.1114ドル - 1.1209ドル
ユーロ円:158.11円 - 160.13円

(中村)
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