東京為替見通し=ドルの買い場探しは変わらずか、国慶節明けの中国景気刺激策に注目

 昨日の海外市場でのドル円は、利益確定目的の売りなどが優勢となり147.86円までじり安となった。もっとも、米長期金利の上昇に伴うドル買いも入ったため、一本調子で下落する展開にはならなかった。ユーロドルは1.09ドル後半で小動きだった。なお、米10年債利回りは一時4.0314%前後と8月1日以来およそ2カ月ぶりの高水準を記録した。

 本日のドル円は引き続き買い場探しとなるだろう。昨日の東京時間では8月中旬以来のドル高・円安水準を更新したこともあり、本邦実需勢のドル売りが上値を抑えた。水準的にもフォワードポイントを入れると、148円台前半より上の水準で輸出予約をした場合は、来年3月末時点で145円台を確保できる。各企業によって想定為替レートは異なるだろうが、日銀短観で示された2024年度の想定為替レートが全規模・全産業が145.15円、大規模・製造業は144.96円ということもあり、水準としては売りが出やすいのではないか。本日もドルの上昇局面では実需勢のドル売りが重しになりそうだ。

 もっとも、先週末発表された9月の米雇用統計以来のドルの堅調地合いが変わるのは難しいか。昨日はドル買いの勢いは削がれたが、米長期金利は2カ月超ぶりの高水準を記録。CMEグループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」によると、11月6-7日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で0.50%の利下げを予想が0%になり、これまで0%だった据え置きが13.7%まで上昇している。今週発表される9月の米消費者物価指数(CPI)は前月から低下予想となっているが、予想よりも結果が上回った場合には、据え置き見込みがさらに高まりドルの下値が更に支えられることになる。

 本日は本邦からは複数の経済指標が発表予定。本来であれば、8月の毎月勤労統計調査で発表される実質賃金次第に注目が集まるが、為替の値動きは限定的か。実質賃金は2カ月連続でプラスであり、3カ月連続上昇となれば、日銀の利上げを容認していると捉えられていた石破政権が「再利上げを否定しない」との見方もあった。しかしながら、石破首相が先週「現在は追加利上げをするような環境にはない」との見解を示したことで、実質賃金への市場の反応は限られたものになりそうだ。

 なお、本日は豪ドルの動きにも注目したい。複数の経済指標(10月ウエストパック消費者信頼感指数、9月NAB企業景況感指数)が発表される。また、9月23-24日開催分の豪準備銀行(RBA)理事会の議事要旨も公表予定。理事会では政策金利が予想通り4.35%で据え置かれ、声明文でもタカ派的な内容が維持された一方、その後の会見でブロックRBA総裁は「前回までと違って利上げを検討しなかった」ことを明らかにした。声明文と議事要旨にニュアンスの開きがあった場合には、豪ドルは動意づくだろう。また、ハウザーRBA副総裁の講演も予定されている。

 更に、中国では国慶節の大型連休を終えて国内市場が再開されることにも注目。本日は、国家発展改革委員会が「経済成長促進を目的とした政策」について記者会見を開催する予定。一部では財政出動措置の発表が期待されている。発表内容次第で株式市場に大きな影響を与え、リスク許容度に敏感な豪ドルが動意に繋がるかもしれない。

 他、昨日にNY原油先物相場は3%超上昇しているように、引き続き中東の動向に多くの市場関係者は警戒している。中東情勢がさらに悪化した場合には、リスク回避の動きが急進するリスクも念頭に入れて取引をする必要がありそうだ。

(松井)
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