株式明日の戦略-買い手不在の中で大幅安、メトロの上場は反転材料となるか

 22日の日経平均は大幅続落。終値は542円安の38411円。まちまちの米国株を受けて、寄り付きは小幅安。しばらくは強弱感が交錯して、プラス圏とマイナス圏を行き来した。しかし、39000円に接近すると戻り売りに上値が抑えられたほか、序盤では買われる場面もあった半導体株の多くが下げに転じたことなどから、次第に下押し圧力が強まってきた。9時台後半から10時台前半にかけて鋭角的に下げ幅を拡大。700円超下げて38200円台に入ったところで売りは一巡した。そこから38500円近辺まで値を戻すと、後場は動意が乏しくなり、狭いレンジでのもみ合いに終始した。リスク回避ムードが強まる中、グロース250指数が2.7%安と大きめの下げとなった。

 東証プライムの売買代金は概算で3兆8000億円。業種別では海運とゴム製品の2業種のみが上昇しており、鉱業が相対的に値を保った。一方、機械、建設、不動産などが大きめの下げとなった。株主優待の新設を発表したTHECOO<4255.T>が、場中は値が付かずストップ高比例配分。半面、セガ社から特許権侵害に基づく損害賠償請求を受けたことを公表したバンク・オブ・イノベーション<4393.T>がストップ安となった。

 東証プライムの騰落銘柄数は値上がり135/値下がり1493。円安進行を手がかりに、トヨタ、三菱自、ブリヂストンなど自動車関連の一角が逆行高。海外海運会社の業績好調が伝わったことから、日本郵船、商船三井、川崎汽船の大手3社がそろって上昇した。日経記事を材料にセイコーエプソンが大幅上昇。自己株取得を発表したラクーンHDが急伸し、オンラインショッピングモール「Temu」と新たに連携することを発表した夢展望が、一時ストップ高となるなど値を飛ばした。

 一方、ファーストリテイリングが3.2%安。三菱重工、川崎重工、IHIの防衛大手3社が前日に続いて大きく売られた。半導体株はエヌビディアの大幅高を好感できず、東京エレクトロンやアドバンテストが大幅安。米長期金利が大きく上昇したことを受けて、三菱地所や東京建物など不動産株の下げが大きくなった。金融庁が立ち入り検査に入ったことが分かったと日経新聞で報じられたIDOMが19.6%安と急落した。

 本日、グロース市場に新規上場したSchooは、初値は公開価格を上回ったものの、終値は初値を下回った。

 日経平均は大幅安。米国動向からは値下がり銘柄が多くなっても半導体株の上昇でカバーできそうな雰囲気もあったが、蓋を開けてみると半導体株も敬遠されて、ほぼ全面安となった。ただ、きょうはスケジュール的に買いを入れづらい日でもあった。あす23日に東京メトロが新規上場し、この日の引け後にはニデックが決算発表を予定している。そして、27日には衆議院選挙の投開票が控えている。きょうの下げに関しては、衆院選で自公での過半数確保が微妙になったとの報道が出てきたことが売り材料になったとみられているが、買いが手控えられる中で、売りだけが急がれた可能性もある。

 あすプライム市場に新規上場する東京メトロ(証券コードは9023)は知名度も高く、値動きが大きく注目されることになるだろう。この銘柄だけに資金が集中してそれ以外の売買が細るリスクもあるが、大型ルーキーの登場が株式市場に新たな資金を呼びこむ展開に期待したいところだ。引け後にニデックの決算が出てくることで、木曜24日以降は、業績を確認しながら個別物色が活況になる公算が大きい。衆院選に関しては不透明要素が多いが、週後半にかけてはこれまでよりも場中の値動きがアグレッシブになってくると思われる。きょうは意外安となってしまったが、一応25日線(38442円、22日時点、22日の終値は38411円)近辺では下げ止まった。あす反転できるようなら、全体の地合いが良い方にガラッと変わったとしても不思議はない。
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