週間為替展望(豪ドル/ZAR)-豪ドル、7-9月期CPIに注目

◆豪ドル、7-9月期のCPIに注目
◆豪ドル、本邦総選挙の結果次第でも上下
◆ZAR、中期予算政策声明に注目

予想レンジ
豪ドル円 99.00-103.00円
南ア・ランド円 8.40-8.90円

10月28日週の展望
 豪ドルは、来週に重要イベントが複数予定されていることで、その結果次第で大きく上下を繰り返すことが予想される。30日に発表される7-9月期の消費者物価指数(CPI)に注目。4-6月期のCPIは市場予想通りの3.8%となったが、豪準備銀行(RBA)が重要視するトリム平均値が予想を下回る3.9%となり、豪ドルは小幅に弱含んだ。7-9月期はそれぞれ3.0%、3.5%まで低下することが予想されている。RBAはインフレに対して依然として警戒を緩める姿勢を見せていないが、インフレの低下が鮮明になった場合には年末にかけて利下げ圧力が高まる。また、31日には9月の小売売上高も発表予定。

 国外でも、週末の27日には日本の衆議院選挙が投開票される。結果次第では、日経平均が大きく動意づく可能性があり、リスクに敏感な豪ドルも影響を受けることになる。また、中国からは各種購買担当者景気指数(PMI)が予定されており、注目したい。

 また、ニュージーランドからは31日に10月ANZ企業景況感、11月1日に9月住宅建設許可件数が発表される程度。11月のNZ準備銀行(RBNZ)会合までにはまだ時間があるが、今後のインフレ指標等の結果が注目される。

 ZARは神経質な動きになるだろう。経済指標は29日に9月貿易収支、31日に9月卸売物価指数(PPI)が発表されるが、指標よりも注目度が高いのは30日にゴドンワナ財務相が発表する中期予算政策声明(MTBPS=Medium-Term Budget Policy Statement)。2月の予算と比較すると政治的安定、電力生産の増加と停電の減少、そして最近の金利引き下げにより、成長予測をさらに高める余地がある。MTBPSで景気拡大に結び付く予算が発表され、尚且つ政府債務対GDP比が過大にならなければ、ZARは強含みとなりそうだ。

 ただ、リスクは西側諸国との関係悪化にある。24日まで開かれていたBRICS首脳会議で、ラマポーザ南ア大統領はプーチン露大統領に「ロシアは味方だ」と伝えた。また、反イスラエル姿勢も改めて示した。更に、「南ア国営銀行が、ロシア開発対外経済銀行(VEB)と協力協定を締結した」と報じられている。多くの国から制裁対象となっている金融機関への協力姿勢を見せたことで、今後の南アへの投資意欲減退懸念や、南ア自身への制裁なども予想され、西側諸国からの圧力をどのように切り抜けるのかが今後の課題となるだろう。

10月21日週の回顧
 豪ドルは対ドルでは米金利の上昇で小幅に売られた。ただ、ドル円が153円台まで円安が進んだこともあり、対円では一時7月下旬以来の101円後半まで強含んだ。ZARは米金利高に連れてドル高・ランド安が進行した。一方でZAR円は一時7月中旬以来となる8.70円まで上昇。ただ、南アが多くの国から制裁を受けているロシアの金融機関への協力協定を結んだと報じられると上値が抑えられた。(了)
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