株式明日の戦略-週間では4桁下落で38000円も下回る、来週は波乱の要素が満載

 25日の日経平均は大幅反落。終値は229円安の37913円。米国株は3指数がまちまちで方向感に乏しかったが、ダウ平均の下落や円安一服が嫌気されて、寄り付きから3桁の下落。節目の38000円を割り込んだ。衆議院総選挙の投開票を前に政治リスクが意識される中、すぐに下げ幅を300円超に拡大。いったんもみ合った後、前引けにかけては改めて下を試しに行った。一方、37700円台に突入して400円超下げたところでは売り圧力が和らぎ、13時辺りからは緩やかに値を戻した。200円を超える下落で取引を終えたものの、大引けが後場の高値となった。

 東証プライムの売買代金は概算で3兆1500億円。業種別では全33業種が下落しており、金属製品、空運、建設などが小幅な下げにとどまった。一方、海運、ゴム製品、石油・石炭などの下げが大きかった。通期の見通しを引き下げたものの、株主優待の新設が好感されたモバイルファクトリー<3912.T>が後場急伸。半面、9月度の月次で営業利益が前年割れとなった神戸物産<3038.T>が大幅に下落した。

 東証プライムの騰落銘柄数は値上がり216/値下がり1398。決算を材料に前日買いを集めたニデックがきょうも強く4.6%高。東京エレクトロンやディスコなど半導体株の一角がプラスを確保した。増配や自己株取得を発表した信越ポリマーが大幅高。上方修正を発表した能美防災や、証券会社が投資判断を引き上げたコニカミノルタが急伸した。

 一方、幅広い銘柄が売られる中、今週IPOで好スタートを切った東京メトロが利益確定売りに押されて5.5%安。半導体株は底堅く推移したものもあったが、アドバンテストは3%近い下落となった。海運株が弱く、日本郵船、川崎汽船、商船三井がそろって大幅安。通期は最終赤字に転落する見込みとなった富士通ゼネラルが急落した。

 本日、プライム市場に新規上場したリガクは公開価格割れからのスタートとなり、初値を下回って初日の取引を終えた。

 日経平均は週間で4桁の下落。結果論にはなるが、株式市場にとっては衆院選投開票の日程は10月27日ではない方が良かった。そもそも今週はまだ決算発表が少なく、投開票がなくても商いは盛り上がりづらい。ただ、本来であれば売りも出づらい週になる。米国株はそこまで弱くなく、ドル円は円安に振れていたので、選挙に対する警戒がそこまで強くならなければ、日経平均が大きく崩れることはなかったと思われる。また、選挙が警戒されていたとしても、決算発表が多ければ日経平均はもう少し値を保っていた可能性が高い。実際、今週も好決算銘柄にはしっかり買いが入っている。

 ここまで政権与党の苦戦が伝わること自体が想定外であったと思われるが、今週の日経平均は11営業日連続陰線という残念な記録を樹立した。そして、多くの市場参加者はその理由を政治に対する不安と解釈している。予想に反して自民党が大勝するということがない限り、石破政権に対する市場の評価は高まりづらい。この点は日本株を見る上でのリスクとなり得る。


【来週の見通し】
 波乱含みか。金曜の11月1日には米国で10月の雇用統計が発表される。翌週は11月4日の月曜が東京市場は休場で、11月5日には米大統領選の投開票が実施されるというスケジュール。先に注目のイベントを控える中で、日米ともに注目企業の決算発表が目白押しとなる上に、10月30日~31日の日程で日銀金融政策決定会合が開催される。米大統領選は現時点でも大接戦と伝わっている。また、足元では米国の長期金利が高止まりしている。そのため米国では、大統領選や雇用統計の発表を前に、いったん利益を確定させる動きが強まる可能性がある。日銀会合近辺ではドル円の振れ幅が大きくなる展開も想定される。これらはリスク要因となる一方、決算で好材料が出てきた銘柄には強い買いが入るだろう。個別物色の活況は全体を下支えする公算が大きい。各種材料に一喜一憂しながらも、楽観、悲観どちらにも傾くことなく、荒い動きが続くと予想する。



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